お前の刀に――俺はなる

□一章
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「おっはよーだよ刀矢おはよう!

今日もいい天気だね!いやいや曇りじゃんとか言うのはご法度ご法度!天気はそれぞれ風流があるんだよ!

はい!リピート・アフター・ミー!

クラウディー・イズ・べリー・グゥウッド!!いぇい!」

「………」

朝からテンションの高い幼なじみ。

いつものマシンガントークが玄関の戸を開けた瞬間ふりそそぐ。

……しんどい。

「由利。もうちょっと考えろ。朝。超朝。めっちゃ朝。俺寝起き。今から学校」

「うん!だから!テンション上げよー!」

「ここで全部使い果たすわ」

すでに疲れきった俺が気に入らないのか由利は一歩下がり、

胸に手を添える。

「横槍刀矢(ヨコヤリ トウヤ)様……。あなたは何故そんなにも疲れきっているの?」

こちらに手を差しのべながら声を深くして言ってくる。

「いや、お前が……」

「私は添木由利(ソエギ ユリ)。私があなたの疲れ……いや、あなたの心の闇を……癒してあげましょう……!」

そう言ってクルクル回る由利はどう見ても変人だ。

こんな奴と

幼なじみ

家が隣り

家族ぐるみの付き合い

というどっかのギャルゲーみたいな関係。

……なんたる面倒事の中にいるんだ俺。

そんなこと思ってため息を吐いた。

「たくっ……もう行くぞ」

「あ!待ってよ刀矢……いや、

ハンドレッド男爵!!!」

「誰だよそれは……。しかもそれ、英語の意味解って使ってんのか?」



――普通の一日の始まり――
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