土銀
□ひめはじめ2
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まるで八つ当たりでもするように強引だった土方の態度よりも、そんな強引さに何度もイかされてしまった自分が情けない。
……本気で、もっと…とせがみたくなってしまいそうだったことは永遠に胸に秘めておこう。
「……で?気は済んだのかよ」
そんな訳で土方に対して怒りはないが、またこんな風に扱われてはたまらないので、一言注意しておく。
「そりゃアこっちのセリフだろうが!!」
それで、銀時と向かい合うように座っている土方の顔は、血まみれになっていた。
「当たりめーだ! それだけで済ませてやったんだ。感謝されてもいいくらいだ」
散々喘がされまくり、漸く開放された。
身体を離され、何とか起き上がれるようになった途端、銀時は土方に殴りかかった。
だが、出したパンチは呆気なく避けられ、腕ごと押さえられてしまった。すぐに左手を繰り出せば、それも避けられ、両腕とも掴まれてしまった。
『まだ足りねーみてぇーだな』
そう言って身体を押さえ付け、顔を近付けてきた土方に、銀時はつかさず頭突きをお見舞いした。
それがクリーンヒットして、現在、土方の顔は血まみれになっているのだ。
「だからって頭突きするか? 普通?」
額から流れ出る血液を拭いながら、色気のねぇ…とか何とか土方はブツブツと言っている。
「悪かったな。色気が無くて!」
元々そんなものなど持ち合わせていない。
「色気が欲しいなら他を当たりやがれ……」
色気が欲しいのなら、花街にでも行けばいいのだ。
「色気がねぇ…つったのは言葉のあやだ。お前はむしろ色気を垂れ…ってッッ! 危ねぇーな」
「黙れ! それ以上言ったら、もう一回頭突き食らわすぞ」
変なことを言い出した土方を黙らそうと、腕を振り上げたが、あっさりと避けられてしまった。
クソッ! と苦々しく思いながらも、銀時の方も、もとから本気で殴るつもりはないので、すぐに腕を下ろした。
◇◆◇
言い争いが収まり、室内が静かになった頃。
「テロの警戒中、新年の初詣客の中に混じってるテメェを見かけた」
土方は床に落ちているタバコの箱を拾い上げながら、ポツリ…と何かを話し始めた。
「真選組はあんなとこも警戒してんの?」
まさかあんな小さな神社まで見回っているとは思わなかったが、確かに銀時は初詣に行っている。
「お前は一人じゃなかった」
そう、坂本と一緒に……。
「……確かに一人じゃなかったか…な」
年末に土方を万事屋から見送ったあと、新年が明けたと同時に、万事屋に顔を出した坂本に、初詣に行こうと強引に外に連れ出されたのだ。
(……もしかして)
そこまで会話を交わして、銀時はふと気付いた。
「……なぁ、お前が怒ってる原因ってのは……」
(やきもちか!?)
「俺が辰馬と初詣に行ったからか?」
「辰馬っつーのか、あの男は。居酒屋でもお前と一緒にいたよな?」
少し前、もう会いたくないと思っていた土方と偶然会ってしまったときのことだ。
居酒屋で坂本と一緒だったことを土方は言い出す。
「あん時の男とテメェはどういった関係だ?」
つまり土方は、坂本とのことを勘ぐっているのだろう。
「お前なぁ、俺が他のヤツと居たからって……。ふつー疑うか?」
おかしいと指摘すれば……。
「自分でもおかしいのは判ってんだ。だがお前のことになると余裕がなくなっちまうんだから仕方ねェだろう」
自分の余裕の無さを土方は吐露してきた。
「……土方」
灰皿にタバコの先を押し付け、火を消した土方が、ふわり…とやわらかく、銀時の腰に腕に腕を回してきた。
「……バカだな…お前……」
呆れて良いはずが、なんだか嬉しくなってきた
「誰が馬鹿だ」
不機嫌そうに文句を言う土方が愛おしい。
だから、そっと耳に唇を近付けて、
「好きだって言ってんじゃねぇーか」
小声で告げてみた。
◇◆◇
土方に背を預けるように寄り掛かっている銀時の身体を背後から包み込み、柔らかそうな髪に触れてみれば……。
「触んじゃねーよ……」
銀時は首を左右に振りながら、くすぐったそうに笑う。
腰に回している腕を腹部に這わせれば……。
「……くすぐってぇーって……」
ビクンと一瞬だけ身体を震わせ、振り返り、睨んできた。
(かわいい……)
大のオッサン相手にどんな趣味? と自分の目と好みを疑うが、かわいいと思うものは仕方ない。
「好きだ」
囁いてみれば……。
「何だよ。いきなり……」
銀時は僅かに頬を染め、唇を尖らす。
(やべッ、また勃ってきちまった)
そんな仕草さえ、可愛らしく思っているのは、自分だけではないと、土方は確信した。
(俺がハマるくれぇーだもんな)
剣の道に足枷はいらない。
そう思っていた土方は、今までに付き合った女は一人もいない。
遊郭に贔屓にしていた女が数人いたくらいだ。
初めて付き合った相手である銀時は男で、銀時は誰かに守られるほどヤワじゃない。
――だから余計に――
「俺以外の他の奴に触らせんな」
束縛する理由のない銀時に対して、余裕がないのだ。
「……バーカ、意味…わかんねーよ」
それを冗談と取ったのか、銀時はクスリ…と笑う。
「こっちは本気で言ってんだ」
腹部に這わせていた手を少しずつ上に移動させる。胸を撫ぜるように這わせれば、指先が小さな突起を捉えた。
「……ん…ちょっ、どこ触って……」
見つけ出した突起を弄れば、銀時は身体を硬直させる。
「どこって…言った方がいいか?」
もっと銀時の濡れた声が聞きたくて、項に唇を落としながら、見つけ出した突起の先端を弄りながら、問えば……。
「ん…だよ。スケベ……ジジイみてぇーなこと、……言いやがってぇ…ッ」
銀時は悪態を吐きながら、小さく身体を震わせる。
「スケベじじい? そういうテメェはどうなんだ? そのスケベじじいに乳首弄くられて、コッチまで硬くなっちまってんぞ?」
「仕方…ねぇ…だろ。んっ、触るお前が…悪ぃ……んだろが。あっ!……そっちは…ッ」
制止する銀時の声を無視して、まだやわらかく解けている窄まりに指を滑らせる。
そのまま指先に力を入れれば……。
「…ンッ、アぁぁ」
「まだすんなり入るな」
さっきまで土方のモノを飲み込んでいた後孔は、土方の指をすんなり飲み込んでしまった。
「んんぁ……ぁあ……ッ」
二本の指でグルリと掻き回すように弄ると、内壁はヒク付き初め、その指を締め付けながら絡みついてくる。
「なぁ…もう一回いいか?」
「……ぁっ…ここまで……やっといて、ッ…聞くな…バカ……っ」
顔を真っ赤にしながら涙を浮かべた銀時が、振り向いた。
◇◆◇
「ん……ぁ、あ……っ…あぁ」
ソファーから布団に場所を移し、銀時の身体を組み敷いた。
脚を高く抱え上げ、体重を掛けるように抽挿を深くしていけば、繋がった腰を揺さぶる度に銀時から甘い声が漏れ出る。
その声が、自分だけが聞くことの出来る声だと思えば、もっと上げさせてみたくなるが、これ以上無茶をすると銀時がヘソを曲げることは明らかなので止めておく。
「銀…時」
代わりのように、そっと名前を口にすれば、銀時は閉じていた瞼をゆっくりと開けた。
「……ひじ…方……」
(……その顔は犯罪だろうが)
焦点の合っていない濡れた双眸の予想外の艶やかさに、身体中の血液が下肢の一点に集中していくのを自覚する。
「ひぁっ、あ……ッ?」
土方の興奮を銀時も内部で感じたようだ。
驚いたような、それでいて甘い声を銀時が上げた。
その声に、更に煽られる。
「……っ…いきなり、デカ…くす、な……」
「悪かったな。だが、嫌じゃねェだろ?」
明らかな甘い声は銀時の快感を表しているのだろう。銀時が甘い声を上げ、身悶える度に内壁は収斂を繰り返し、土方のモノに絡み付いてくる。
「もう1回…俺を好きだって言えよ。そしたら、もっと悦くしてやる」
滅多に聴く事の出来ない告白を先ほど聞いたばかりだが、もう一度聞きたくなった。
「バ…カ、っ…違……だ、ろ? ……こん…な、……悦い…とか、関係ね……だろが」
銀時は笑いを堪えるような笑みを浮かべながら、両腕を伸ばし、首に絡ませてくる。
その腕に引き寄せられるまま、銀時の首筋に顔を埋めると……。
「…好き…だ」
土方が望んだ言葉が小さく囁かれた。
◇◆◇
「……ったくよぉ。何だって元旦から俺たちはヤリまくってんだ?」
ブツブツと文句を言いながら、銀時はテーブルの上に料理をならべていく。
だが、その頬は微かに赤らんでいて、本気で怒っているのではないと解る。
「姫始だ」
「姫始言うな!」
「だったら×××か?」
怒る銀時が可愛らしくて、ついヤバイ言葉を発すれば……。
「もうテメーは何にも言うんじゃねー! これでも食って黙ってろっ!」
投げるように、土方の目の前に重箱が置かれた。
「……美味そうだな」
蓋を開ければ、中身のおせちには全てマヨネーズが使われているのが解る。
土方からしたら少しばかりマヨネーズの量が足りないが、銀時が作ってくれたというだけで、どんなものより美味そうに思える。
「いいから黙って食え」
促がされて、目の前に置かれたおせちに箸を伸ばし、海老を口に放り込んだ。
「美味い……」
予想以上の美味さに、思わず本音が出る。
「そ、そうか?」
上擦る声に顔を上げれば、嬉しそうな銀時が目に映る。
そんな顔も可愛くて、土方は相当銀時にヤラレていることを再自覚する。
「おい」
「なんだよ」
「今年もよろしくな」
言いながら、新年の挨拶すらしていなかったと、今頃気づいた。
「あ、そうだ!! そういや新年の挨拶すらしてねーじゃんかよ!」
銀時もそのことに、今、気づいたらしい。
「しただろ? 挨拶」
「……いつだよ?」
銀時は不振そうに訊く。
土方は箸を置くと、首を傾げる銀時に……。
「……身体でしただろ。新年の挨拶」
と、告げた。
END
あとがき
で、この後は、銀さんの飛び蹴りが炸裂します(笑
土と銀にはケンカもイチャイチャの一部なのですよ♪