土銀
□青いんです4
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銀魂高校では、五日間のテスト期間を終え、銀八はテストの採点に追われていた。
生徒が休みの土曜日も自主出勤して、自分が受け持つ生徒全員の採点を終わらせた。
今度の金曜日に残業をしなくて済むように…
(別に誕生日祝いなんてどうだっていいんだけどね、俺は。土方が祝いたい…っていうから応じただけだから)
誰に言うわけでもない言い訳をしながらも、土方によって拘っていた過去の気持ちが吹き飛んだことが嬉しくて、銀八は今度の金曜日に誕生日祝いをしてもらうことに応じた。
使用した場所の戸締りを確認して、全ての電気を消し、施錠して、去年から導入されたセキュリティキーをONに設定した。
普段は苦手な駐輪場も、明るい時間帯に通るのだから当然、平気である。
酒とツマミでも買って、何の予定もない明日は家でのんびりするか…などと考えながら駐輪場に向かっていると、前方に黒い人影があることに気付いた。
塀に寄り掛かるように立っている人物は、泥棒や不審者…という雰囲気ではない。
誰かを待っているような…?
「あ〜そこの方ァ、今日は休校ですよ」
自転車の数や静まりかえった校内の様子だけでも解るだろうが、念の為、声を掛ける。
声を掛けた人物が顔を上げ、こちらに近付いてきた。
(……あれ?)
顔の識別が出来るほど近付かれて、その人物は左目を眼帯で覆っている男だと解った。
まるで、待っていたのが銀八だ…とでもいうように、こちらに近付いてくる男。
その少しだけ日に焼けた顔を認めて、銀八は固まった。
「……お前は…」
「久しぶりだな、銀八」
ニヤリ…と笑みを浮かべる男は、幼馴染で親友で、一時期は恋人でもあった高杉晋助だった。