□もう、泣くな。
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ヒっく…ヒっく……さい、ぞぉ…





伊佐那海のすすり泣く声が聞こえる。




血を、流しすぎたか…

目が霞んで姿は捉えることが出来なかった。







伊佐那海、泣くな。


すまない。

俺がいつまでもこんなブッ倒れた格好でいるからだよな…。



あぁ、格好ワリィ。

伊佐那海1人救えない己に虫酸がはしる。





伊佐那海…。


お前は闇の力を受け継いでいるかもしれない。



だが、それはそれ。
お前はお前だろう?

お前はただの、団子が死ぬほど好きなお前だろう?




それはきっとお前自身が一番知ってる筈だ。






それに……

お前が持ってるのは闇だけじゃない。





俺は、お前から初めて"光"を貰ったんだ。




この世に、光に照らされた道はないと思ってた。


ずっと知らないで生きてきた。




今でも、お前みたいにずっと笑ってることなんか出来ない。







分かるだろ、伊佐那海。


お前は俺よりもずっと明るい光を持ってる。

闇なんか押し潰すくらいのバカでかい光を持ってる。






だから、伊佐那海。


…伊佐那海。




俺は立ち上がる。
"光"を守りたいから。





なぁ、伊佐那海。









もう、泣くなよ。









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