終焉の鬼
□episode01.
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「AとEか。随分と離されたもんだな」
生徒玄関に貼られたクラス表を見て深雪は薄く笑う。
深雪がA組。花とかんなはE組だ。
あからさまなクラス配置に花が怒り出す。
「笑い事ではありません深雪様!この花が、理事長に直接抗議してきます!」
深雪は頭を抱えて歩きだそうとする花の肩を抑える。
「待て、花。お前理事長がどなたか知っているか?」
「もちろんです。一条の当主、一条君貴(キミタカ)です。」
「君貴様だ、き・み・た・か・さ・ま!」
深雪は花とかんなの肩を抱え、顔を近づけた。
「いいか?今はまだ目立ちたくねぇんだ。くれぐれも問題は起こすな、いいな?」
素直に頷くかんなに対し、花は頬を膨らませて苦い顔をした。
「でも………深雪様をお守りするのが花達の役目なのに、クラスが違っては役目が果たせません。」
深雪は優しい二人の従者に微笑みかけ、頭をぽんとなでた。
「自分の身くらい自分で守れる。……それに、今はこの学校の全てが敵なんだ。お前たちだって狙われるかもしれない。くれぐれも気をつけろ」
「「はい。」」
深雪はA組の欄に記された”一条真”の文字を睨む。
「一条を崇めろ。命令に背くな。頭を下げ続けろ。それが今お前たちが俺のために出来ることだ」
自分でも驚くほど低い声が出た。
花とかんなも深雪の雰囲気に緊張している。
深雪がそれに気づいてふうと息を吐いた時、不意に後ろから声がかかった。
「通れないからちょっとよけてくれるかな」
振り向いた花とかんなが緊張を超えて萎縮するのを感じる。
深雪もゆっくりと振り向く。
そこに立っていたのは、
「やあ、今日からよろしくね」
一条真だった。