終焉の鬼
□Episode.08
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「懐かしいね」
マリはふふっと笑う。
「初めて深雪を見た時から惹かれてた。自分と同じ瞳をしてたから」
「俺はマリが俺の事見てるとは思ってなかった」
「そう?」
「一条のお姫様が俺なんかに興味があるとは思わないよ」
マリはぎゅっと深雪の手を握った。
「お姫様だったからかもしれないね。一番近くでこの世界を見てたから」
悲しそうな表情をするマリに深雪は軽く奥歯を噛みしめる。
マリは一人で考えて、先に行ってしまう。
いつも、いつも。
惹かれたという相手を置いてでも。
「この木、切られちゃったんだね」
元いた切り株に戻ってきた深雪たちはその切り株に思いをはせる。