終焉の鬼
□Episode.08
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作戦の2日目3日目は居住区を探索する部隊と結界を居住区の前線まで進める部隊に分かれて実行された。
深雪たちは戦闘力の高さを買われ、探索部隊として動いた。
しかし、犠牲は増える一方であり、ほとんど成果のないまま4日目には退却の命が降りた。
「遺憾である!」
帰還後の会合は、総隊長左迅のその一言から始まった。
「訓練を重ねてきたこれだけの者が集まり得た成果が結界の延長のみか!笑止!人類が鬼ごときに遅れをとるなどあってはならない。臆病な者、弱き者は即刻自ら隊を抜けよ。一ヶ月後の進軍では実力の確かなものを前線に立て、敵を抹殺する」
空気は凍りついていた。
実力性。
それは、足でまといはいらないとはっきり言われたようなものである。
中には、既に頭を下げて去っていく者も見られた。
道善から招集がかかる。
深雪たち学生の5人も集まった。
「この中には弱き者も臆病な者もいなかったと感じる。…しかし、もし戦いを拒むものがいれば、今ここで去れ」
道善は表情一つ動かさなかった。
それは、もし去りたい者がいても咎めないということだろう。
しかし、声をあげる者はいなかった。
「負けっぱなしは、嫌いだな〜」
真が笑みを浮かべて呟いた。
それに、道善は笑った。
「俺も嫌いだ!よし、訓練するか!手は抜かんぞ!」
暗かった花とかんなの表情がぱっと明るくなったのが可笑しくて、深雪も軽く笑みを返した。