終焉の鬼

□episode05.
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あの襲撃以来、鬼の襲撃が多発し、いよいよ戦力の余裕がなくなった。
出陣の命は学生にも下り、学内は急に慌ただしくなった。

いくら黒鬼が鬼に有効だからと言っても鬼の実力は人間の数倍以上に及ぶ。

そのための部隊だ。
学生は5人一組となって本部隊配属となる。

仲良しこよしがいいわけではないが、団結出来るというメリットから基本部隊は自分たちで組む。
確かに信頼関係は必要だ。

深雪が花とかんなと組むことは必然であり、また、真に誘われることも予想できた。


「もう一人どうしようねぇ」


深雪の隣で昼食を摂りながら真がつぶやいた。


「さあな、誰でもいいだろ」

「もう、また深雪は適当に…」


呆れたように真が項垂れる。

あの襲撃で深雪の実力は皆に知られてしまった。確実に深雪の実力は一条並だ。
そして真のお気に入り。

誰か志願するだろうと思っていたが、俺の周りにも、真の周りにも寄ってくるものはいなくなっていた。


「誰もいなかったら4人で組めばいいだろ」

「は?5人って決められてるでしょ」

「一条様のわがままで何とかしろ」


また真が呆れた表情を浮かべた時、花とかんながどたどたと教室に入ってきた。


「深雪様っ!!」


クラスの視線が二人に集まる。
深雪と真も振り向いた。


深雪の前に立った花は、真っ赤な顔をして頬を膨らませていた。
かんなは相変わらず涼しげな顔をしていた。


「なんだ」


深雪が尋ねると、花は真の方を指さした。

真の前にはいつの間にか少女が立っており、その少女も花同様顔を真っ赤にしていた。


「衣緒!?」


真が真っ先に驚きの声を上げる。


「聞いてください!深雪様!!」


花が珍しく声を荒げる。


「この女、深雪様の悪口を延々と…」

「何を言う!お前こそ真様のことを愚弄したではないか!!」

「そっちが先に言った!!」

「お前が深雪深雪とうるさいから」

「深雪”様”だ!」


いよいよ乱闘になりそうだったため、深雪と真がそれぞれ止めに入る。


「ちょっと…、二人ともおちついて!」

「花!!」


犬歯むき出しの二人を見て、かんなが静かにため息をついた。
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