上海夜霧之戯言
□上海夜霧之秘事
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苦し紛れの吐息
乱れた黒色の髪を梳かれる
拳志郎の太くて長い指
『相変わらずほっせぇ髪だこと…』
綺麗だけどさ。
なんて付け加えておどけるこいつ
何故か憎めない。
『い、何時までこんな格好させる気だ!?』
恥辱で染まった俺の両頬に唇を落として
また甘ったるい、砂でも吐きそうな声で云う。
『お前が可愛いからさ。つい、な?』
何処となく詫びるように肩を竦めて俺に抱きつく
だ、誰が照れ隠しだって!?
青幇の長でもあり、拳志郎の嫁の兄でもある筈の
この俺が
どうして明友に組み敷かれているのか…
『はぁ…ん、や…やぁ、め…拳、しろっ』
如何しようもなくなった俺は
堪えきれずに嬌声を漏らす
ぐち、ぐちゅ…くちゃ…
恰も偶然の様に立てられる水音は必然。
耳を塞ごうにも快感が先走って躯を動かせない
まだ夜は長いのだから
『いくぜ、光琳?』
それは上海の夜に酷く憂鬱に響く重低音
俺には死の宣告にすら聞こえた言葉。
それ
逸物は減速などせずにそのままのスピードで
俺を貫く
『________っっっっっっっっ!!!!!!』
声すら出せずに果てる
黒すぎるシーツには二人分の白濁が
撒き散らされた様に激しく咲き誇っていた…
『愛してるぜ。光琳』
重低音は、少し遠くで聞こえた。