薄桜鬼 短編
□桜の木の下
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「どうして!どうしてなのよ平助!」
泣かないでくれよ、芽衣
「どうしてうちだけ残していくのよ!!」
あぁ、どうすれば芽衣は泣き止んでくれる…?
「なんで先に死んじゃったのよぉ!」
芽衣と呼ばれた少女は桜の木の下に立っている小さな墓石に縋り泣いていた。
その墓石には少女と愛し合っていた少年の名前、“藤堂平助”と刻まれていた。
芽衣、先に逝っちまって御免な…
ザァーと風が吹き、桜が舞った。
「凄い風…ぇ?」
目を開けると、其処には愛している少年の姿が目に入った。
「へ…すけ…?」
『芽衣、愛してる』
「平助!うちも!うちも愛してる!ずっと、ずっと!!」
芽衣は目の前にいる平助に触れようと手を伸ばし、もう少しで平助が着ている浅葱色の羽織りに触れられるというところでまた風が吹き、びっくりして、閉じた目を再び開けた時にはもう平助の姿はなかった。
「平助ぇ…!」
彼女があまりにも泣くので、平助は後ろから芽衣を後ろから抱きしめた。
芽衣は気付くともないのに…
桜の木の下
(芽衣、寂しくなったり、悲しくなったら此処に来いよ。俺は此処にいる。芽衣が寂しくなったり、寂しくならないよう傍にいるから…)
―――
何がしたかったんだろ?;
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