薄桜鬼 短編

□背中の傷は
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「平助危ない!!」

「芽衣!!?」


物陰に隠れていた不逞浪士が平助の後ろから斬り掛かった。それを芽衣が飛び出して平助を庇い、芽衣が背中を斬られた。

ザシュッと肉が引き裂かれる音と共に芽衣の新鮮な血が平助の顔を濡らした。


「芽衣!芽衣、生きてるか!?死ぬなよ!!」

「へぇ…すけ…。」


いきなり襲いかかってきた敵を倒し終えた平助は芽衣を横抱きにして、屯所へと続く道を走った。


「芽衣!頑張れよ!大丈夫だから!くそっ!!なんでこんなに屯所までの道のりが遠く感じんだよ!!」


凄く遠く感じた…でも平助が全速力ど走ってくれたおかげで屯所には早く着き、烝がすぐに治療をしてくれてうちは死なずにすんだ。





「芽衣、薬や包帯は俺ではなく雪村君がしてくれるが痛みなどがあれば俺を呼んでくれ。すぐに治療をし直す。」

「うん、ありがとう烝。」

「礼を言われるようなことはしていない。俺は部屋に戻る。」

「うん。」


山崎は部屋を去る前に芽衣の頭を撫でてから部屋を去った。
山崎が部屋を去ってから少しして、千鶴がやってきた。


「芽衣ちゃん大丈夫?包帯替えに来たよ。」

「あ、千鶴ちゃん。大丈夫だよ〜。お願いね。」


やっぱり千鶴ちゃんは凄い。手慣れた手つきで包帯替えてくれたや。


「ねぇ、千鶴ちゃん。うちが此処に帰ってきたときってどんな感じだった?」

「芽衣ちゃんが帰ってきたとき?」

「うん。」

「平助君のなんとも言えない声でみんなが玄関に行ったんだ。其処には今にも泣き出しそうな平助君と平助君の腕の中で血だらけでぐったりしている芽衣ちゃんがいたの。」


千鶴はあの日のことを一つ一つ思い出しながら話していった。


「土方さんも他の皆さんも真っ青になってすぐに治療を始めたんだよ。平助君、ついに泣き出しちゃって、ずっと 俺のせいだ!!って泣き叫んで刀を抜いて自分を傷付けようとしてたんだよ…。原田さんと永倉さんが押さえつけてくれてたから大丈夫だったけど…。今は落ち着いて隣の部屋で寝てるよ。」

「平助…自分を責めて…。」


突然襖が開き、其方を見てみると平助が立っていた。千鶴は芽衣に「もう行くね」とだけ告げ平助の横を通って出て行った。


「平助?」

「芽衣!」


平助はすぐさま芽衣に近付き抱きしめた


「いたっ…!」

「!! ご、ごめん!俺のせいでこんな…!」


平助は芽衣から少し離れ俯いてしまった。


「平助、平助は悪くないよ。」

「え?」

「飛び出したのはうちだもん。」

「でも!!」


芽衣は平助に近付き平助を優しく抱きしめた。


「これは勲章。平助を命懸けで護れたっていう勲章。」

「芽衣…」


平助も芽衣の背中を労るように抱きしめた。




この背中の傷は愛しい貴方を護れた勲章





(もう、あんな無茶すんなよ?)

(うん。)



-End-



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