薄桜鬼 短編

□ローリンガール
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何時も独りの私。
何時も届かない夢を見てる。


「頑張ったな。橘!御前だけだぞ?今回のテストで高得点な奴は。」

「ほんとですか!?」

「凄いよ芽衣ちゃん!」

「土方さんに褒められるなんて芽衣すげーよ!!」

「ありがとう!千鶴ちゃん!!平助!!」


これで喜んでもらえる。そう思ってた。


「何なんだ!此の点数は!!95点!?」

「父さん。私、クラスの中で一番なんだよ?」

「御前は恥ずかしくないのか!!」


あぁ、また殴られた。痛いよ、父さん。

そのあとも何度も殴られた。蹴られた。身体が痛いよ…。
私は何時の間にか意識を手放していたらしい。

今はベッドの上


「父さん…仕事行ったのか…。」

父さんにとって私は馬鹿な子。出来の悪い子。

――要らない子――


「ぁあああああああ!!」


そんなふうに騒ぐ頭を抱え、髪の毛をグチャグチャにした。

私は自分で痣を隠すために顔に湿布、腕や脚には包帯をして、学校に向かった。


「はよ!芽衣!」

「あ、おはよう。平助」


くるりと振り返ると平助の動きが止まった。


「芽衣…大丈夫なのか…?」


凄く心配してくれてる…。ありがとね


「問題ないよ」


と私は笑顔で呟いた。
言葉は失われちゃったでしょ?




悪い点。もう失敗。
あぁ、また悪い点。もう失敗だ。

間違い探しも終わった。何処にも間違いはなかった。

また、殴られる!


もう一回、 もう一回。

「私は今日も転がります。」

と言う。前に階段から突き落とされた時、階段を転がり落ちる私を見て父さんは大笑いして暴力を止めた。仕方ない。父さんの機嫌をとらなきゃ。私が転がれば父さんは笑う。機嫌は悪くならない。

『私は今日も、転がります。』この言葉に意味を奏でながら!


「芽衣、もう良いかい?」

「まだですよ、平助。まだまだ先が見えないので。息を止めるんだよ、今。」






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