scarlet
□竜胆の花束を貴方に
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ジェスネ←ハリ
※企画小説
僕は両親を偉大だと感じる反面、恨みたくなる時がある。
具体的に言うとある人が関わると余計にそう感じる…。
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「先生?入りますよ〜?」
何回かノックしてみたがこの部屋の持ち主は返事を返してはくれなかったので半ば勝手ながら入るとことにした。
僕はこの部屋に入り浸っていることもあり、先生がいそうな所に迷いもせず行くことができた。
先生はいたが、全く動かない。
不安になって近よって見ると、安らかな寝息が聴こえる。
…疲れてるのかな。
安らかな顔をしている先生は日頃の怖さわはどこえやら美しい顔をしていた。
本当はもう少し先生の寝顔を見たかったけれど、疲れているなら寝かしてやりたいという気持ちが強くなって起こさないように、音をたてないように扉に向かう。
2、3歩歩いた時、先生が少し唸って
「…ジェームズ」
と小声で言うのが聞こえた。
部屋を出てから僕の心は暗く渦巻くばかりだ。
なんで、どうして…
父と先生が付き合ってたことは知ってる…
でも結果的には別れたし、父さんも母さんと結婚した…。
今も先生の心の中には父さんがいて、どこかで父さんを探している先生がいる。
素直にそんなの嫌だと思った…
僕は父さんを憎む。
だって、好きな人に僕と良く似た人を重ねられては困るもの…
でも、父さんに感謝してるんだ。
貴方が傷つけたお陰でその傷を癒してあげることで先生は僕しか感じられなくなるんだもの。
素敵な事だよね。
だから、暫くの間だけ先生の中に居させてあげるよ、
父さん。
竜胆の花束を貴方に
(竜胆の花言葉
悲しんでいる貴方を愛する)
(好きですよ、先生。)