colorless


□モアトリアム
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「ママ、ママ!」
「ん。どうしたの?」
「あのね、甘楽ね、公園に行きたいの!!!」
「そっか。じゃあ、公園に遊びに行こうか?」
「うん!」
私は、今もあなたのことを思っています。
















あれは、5年前。
あの時の僕は、何も知らない無垢な子でした。
親友に誘われ池袋に来て、新宿の情報屋の臨也さんを好きになり、恋人同士になりました。
毎日が、幸せでした。そう、あの人に告白されるまでは・・・・・。




僕は、いつものように家へ帰る道を歩いていると前方に見覚えのある人が歩いてくる。
長身で、金髪をなびかせていた。
静雄さんはこちらに気づいたのか、近くまでやってきた。
「よう、帝人。」
「こんにちは。静雄さんはこれからお仕事ですか?」
「いいや、今休憩なんだ。公園にでも行ってこようかと思って。」
「そうだったんですか・・・。」
「帝人、お前今暇か?」
「えっ、ええ。」
「じゃあ、付き合ってくれねえか?」
「いいですよ。」
僕は、この時気づくべきだったのだ。静雄さんの目が欲情に膨らみ、まるでこれから餌を食べる肉食獣のような目つきだったことを・・・。
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