colorless


□蛹
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体の薄い面幕を直接触られるような

あなたのその僕を触る指も、僕は嫌いじゃなかった。

でも、あなたは僕に嘘ばかり付くから言えなかった。

そんなあなたを僕は・・・・・・







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いきなりのことだった。
いきなり、あなたが「死んだ」と聞かされて
嘘だと思った。
これは、ウソなんだと・・・・・。


知り合いと一緒にあの人が眠っているところに行った。
あの人は
今にも起きだして、僕の名前を呼んで、抱きしめて、笑うような気がした。
さすが、眉目秀麗だとほめるべきだ。一緒に飾られている白菊が負けているようにも見える。
皆、なんだかんだ言って泣いてた。
静雄さんなんて、あんなに「殺す」って言ってたのに死んだ今、なんだか抜け殻のようにただ立っているだけで喜んでも、悲しんでもいない。
意外な光景だった。
あんだけ「嫌い」と言っていたのに、結局はその人がいたからこそ言えたことなんて、
今更気づいているのだから。
もちろん、僕も。


こんな日が来るなんて
昨日の僕は知らないし、思ってもいなかった。
まだ、あなたが僕の名前を呼んで会いに来てくれるんじゃないかっって、期待してたりして・・・・。
でも、来ない。

あなたがいなくなってから僕の体は、変化した。
乾いてしまったんだ。きっと・・・
あなたは、僕にとって水だったんだ。
あなたの(水)無い食事(非日常)は潤わず、ただ、霞んでいくだけ・・・・。







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