pale green

□夕暮れと君と
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長埼
※企画小説




2月始め。
暦上春なのだが、全くもって暖かくない。

今日は、みんなソワソワしている…。
カレンダーで何日か確認して…

ビンゴ!今日はバレンタイン。
女の子は渡したくてソワソワしているし、男の子はもらいたくてソワソワしている。

ひがみを言うわけではないが僕みたいな人間がもらえる訳がない。
証拠に、東京君たちの机の脇の袋。中には、自己主張しすぎの綺麗なラッピングたちがチラホラ見える。

新潟ちゃんが東京君をチラチラ見ている。
きっと渡すのだろう…。

適当に授業を受け終礼をする。
そういえば、東京君たちの思いびとである埼玉ちゃんの姿をいまだに見ていない。
残念ながらクラスが一緒ではないのでしょっちゅう見かける訳ではないが、お昼休みなどでは見かける。
そんな、彼女が今日は全く見かけていない。

終礼が終わっても帰る事が出来ず、なんとなく外を見ていた。

朝の寒さはどこえやら、暖かな日差しがグランドに射していて赤い海のようにも見える。

遠くのほうで運動部の掛け声が聴こえる。

そろそろ帰ろうと立ち上がって、何時もと何ら変わりのない荷物を持ち、教室を出る。

日の光りは廊下や階段をも赤く染めていた。
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