暗黒世界に終止符をA
□暗黒世界に終止符を
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「教科書394ページを開きなさい」
闇の魔術に対する防衛術の授業。しかし教室に入って来たのはスネイプだった。教室が少しざわついた。
「スネイプ先生、ルーピン先生たちはどうなさったんです?」
「君が気にすることではない」
ハリーが振り返って聞くと、スネイプは冷たくそう言った。
「・・・今日は授業が出来る状態ではないとだけ言っておこう」
そう言ってスネイプはラサラスの方を見た。ラサラスは頬杖をついて上の空のような表情を浮かべている。
『(今日は満月か・・・[ドンッ]
なんて考えていると隣りから肘打ちを食らった。誰だよ・・・、と隣りに目を向ける。
なんだ、ハーマイオニーか・・・え、ハーマイオニーいつ来た?
「教科書を開きたまえ。394ページだ」
『あ、はい』
威圧感たっぷりにこっちを睨みながら言うスネイプに、パララ…と教科書を捲った。
394ページとか、だいぶ先だけど・・・?
『、』
そのページの項目を見た瞬間、ラサラスの手がとまった。
「“狼人間”?」
ロンがぽつりと呟いた。
「先生。レッドキャップとピンキーパンクは習いしたが夜行性の生き物はまだです」
ハーマイオニーがスネイプの方を振り返ってそう言った。「ハーマイオニーいつ来た!?入って来たの見た!?」と、ロンがハーマイオニーを見て驚いている。
「さて、“動物もどき”と“人狼”の違いは・・・ロード、どうかね?」
スネイプが含みのある笑みを浮かべる。この時期にこの項目って・・・
『―――…わざとですか』
周りの視線が一瞬にしてラサラスの方に向いた。口調こそ静かなものだったが、その声には明らかな怒気が含まれていた。
『夜行性の生き物はまだだって言いましたよね。
何故、“今”人狼なんですか』
睨むようにスネイプを見ると、スネイプは ふん、と鼻で笑った。
「レッドキャップやピンキーパンクなど一年坊主でもわかることだろう。この授業は遅れすぎている。
人狼について・・・吾輩は今習うべきものを教えるだけだ」
『それはっ―――…、』
なにか言いかけてラサラスは ぐっと口を噤んだ。小さく舌打ちして席を立つ。
『・・・気分悪いんで戻ります』
ラサラスはそれだけ言うと教室を後にした。
『―――…は、そんなんじゃない』
ぽつりと呟かれたその言葉は、誰にも届くことなく消えていった。
Next…おまけ
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