暗黒世界に終止符をA

□暗黒世界に終止符を
1ページ/2ページ




「教科書394ページを開きなさい」



闇の魔術に対する防衛術の授業。しかし教室に入って来たのはスネイプだった。教室が少しざわついた。



「スネイプ先生、ルーピン先生たちはどうなさったんです?」

「君が気にすることではない」



ハリーが振り返って聞くと、スネイプは冷たくそう言った。



「・・・今日は授業が出来る状態ではないとだけ言っておこう」



そう言ってスネイプはラサラスの方を見た。ラサラスは頬杖をついて上の空のような表情を浮かべている。



『(今日は満月か・・・[ドンッ]



なんて考えていると隣りから肘打ちを食らった。誰だよ・・・、と隣りに目を向ける。
なんだ、ハーマイオニーか・・・え、ハーマイオニーいつ来た?



「教科書を開きたまえ。394ページだ」

『あ、はい』



威圧感たっぷりにこっちを睨みながら言うスネイプに、パララ…と教科書を捲った。

394ページとか、だいぶ先だけど・・・?



『、』



そのページの項目を見た瞬間、ラサラスの手がとまった。



「“狼人間”?」



ロンがぽつりと呟いた。



「先生。レッドキャップとピンキーパンクは習いしたが夜行性の生き物はまだです」



ハーマイオニーがスネイプの方を振り返ってそう言った。「ハーマイオニーいつ来た!?入って来たの見た!?」と、ロンがハーマイオニーを見て驚いている。



「さて、“動物もどき”と“人狼”の違いは・・・ロード、どうかね?」



スネイプが含みのある笑みを浮かべる。この時期にこの項目って・・・



『―――…わざとですか』



周りの視線が一瞬にしてラサラスの方に向いた。口調こそ静かなものだったが、その声には明らかな怒気が含まれていた。



『夜行性の生き物はまだだって言いましたよね。

 何故、“今”人狼なんですか』



睨むようにスネイプを見ると、スネイプは ふん、と鼻で笑った。



「レッドキャップやピンキーパンクなど一年坊主でもわかることだろう。この授業は遅れすぎている。

人狼について・・・吾輩は今習うべきものを教えるだけだ」

『それはっ―――…、』



なにか言いかけてラサラスは ぐっと口を噤んだ。小さく舌打ちして席を立つ。



『・・・気分悪いんで戻ります』



ラサラスはそれだけ言うと教室を後にした。



『―――…は、そんなんじゃない』



ぽつりと呟かれたその言葉は、誰にも届くことなく消えていった。



Next…おまけ




.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ