DELIVERY JOY 4 U!!!!

□Crazy Sexy CoolC
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セックスの時、例えば身体のどこそこを触って欲しいとか、こうして欲しいという願望があっても、私はなかなか素直に言えない方だ。受け身になりがちで、女が充分に快感を得たかどうかは関係なく、男が果てたらそこで終わりというのが一連の流れだと思っている。セックスの時は男が主導し、女はそれに従い慎ましくあるべきという固定概念があるのかもしれない。第一、好きな人にいやらしい女だと思われたら困る。

けれど高杉くんの指と唇で二度の絶頂を経た私は、自分の欲望に恐ろしいほど忠実になっていた。遠慮や理性といった己を縛りつけるものは、遥か彼方に置き去りにしてきた。

「高杉くん」

私はベッドの上で四つん這いになり、腰を突き上げて懇願した。

「後ろから、して」

普段の私なら、絶対に言えない。これまでこんな頼みをしたことなんて、一度もない。

「後ろからしながら、いっぱい触ってほしいの……」

そう言わせてしまうのも、あさましい格好でねだってしまうのも、早く彼が欲しくて堪らないからだ。後背位を、相手の顔が見えないから苦手という人もいると聞くけれど、顔が見えないからこそ大胆になれる。不運にも鏡張りのこの部屋では、どんな角度からでも見られてしまうが、動物的な体勢で、男性に征服される感じがいい。私は彼のなすがまま彼に屈服し、全てを支配されたいのだ。

すると背後で、ペリ、と小さな音がした。コンドームの袋を破く音だと気付いて、ごくりと唾を呑む。彼の気配がすぐ後ろに近付いて、やんわりとした手つきで腰に触れられた瞬間、私は小さく叫んでしまった。

「あっ!」

全身が性感帯になっている。彼のひやりとした硬い胸板が背中にぴったりと寄り添った時でさえ、私は小さく喘いで身震いした。
ふと正面の鏡を見ると、切れ長の艶っぽい瞳が鏡越しに私を見つめていた。身体だけでなく、心まで奪うつもりでそんな眼差しを向けるのだろうか。そう誤解してしまうほど、彼の目は情熱的で慈愛に満ちて、雄の魅力を放っていた。

彼は孔の場所を確かめるように、私の秘部を親指で押し広げた。くちゅ、と粘液の弾ける音がして、羞恥に肌が粟立つ。彼の亀頭がそこにあてがわれ、ぐっ、と膣の入り口に食い込む。来る、と思いぎゅっと目を瞑る。それが徐々に中へとのめり込み、襞がじわじわと押し開かれるのを、私は息を詰めて待った。

「は、……キツ」

と、高杉くんが掠れた声で呟いた。そのとおり、男を迎え入れるのは随分久し振りである。私のあそこの細胞のひとつひとつは、異物感と違和感におののき、驚愕し、反発していた。快楽を享受するには程遠い状態だった。

彼の動きは、そんな私を気遣うように丁寧だった。徐々に馴らして、私の中が柔らかく解れるのを待ってから、ゆっくりと腰を前後に揺すり始めた。 襞の一片一片が快楽を逃すまいと感覚を研ぎ澄まし、甘いすすり泣きが漏れるまで、そう時間はかからなかった。

やがて彼は乳房に手を伸ばし、手のひらから若干溢れる程度の大きさの乳房をやんわりと揉みほぐした。人差し指と中指で胸の尖りを挟み、擦るように刺激を加える。私は腰をくねらせながら、普段なら言えないようなことを強請っていた。

「もっと、強くして。強くされるのが好きなの」

彼は分かった、と言って、乳首を指できゅっと搾り上げた。お腹の中がじゅんと熱く蕩ける。紙縒りを折るように何度もそうされていると、無図痒いような、もどかしいような何とも言えない気分になっていき、気付けば自分から腰を揺すっていた。
彼は私の願望とおり、愛撫を止めなかった。暫くの間尖りを弄んでから、腰の辺りと臀部を優しく撫で回した。それから茂みの奥にそろりと指を忍ばせ、陰核を探り当てた。そこはピンと尖った形をして、待ち遠しさに小さく震えていた。

「ああ、こんなに膨らんでいる」

彼はそう言って、結合した部分から零れた愛液を指先に乗せ、卑猥な粒をそっと転がした。

「あんっ、そこ……!」

私は一際高い声で悲鳴を上げ、喉を仰け反らせた。触られた瞬間、奥からどっと蜜が溢れ、彼自身と繋がった部分をしとどに濡らすのが分かった。思わず脚の間に目をやると、彼は顎をくいっと掴んで前を向かせた。

「下を向くなよ」
「えっ、なんで……」
「こうしてると、お前の顔がずっと見ていられる」

彼は私の頬を支えて顔を上げさせ、鏡のほうを向かせた。

「俺を見るか、前を向いたまま目を瞑るか、どちらかにしてくれ」

そんなの両方とも選べない。感じ過ぎてよがっている顔を観察されるなんて、辱しめ以外の何物でもない。そう訴えようとする私に、彼は耳朶を齧って、甘い声で囁いた。

「顔を見せてくれ」

ねっとりと鏡越しに私を見つめる瞳の凄まじいほどの美しさと妖艶さに、私は無言で頷き、言われたとおりにするしかできなかった。形のよい眉を寄せ、短く息をしながら、腰を打ち付ける彼の姿をじっと見る。続け様に、興奮を高める燃料を投下される気分だ。

鏡に映る己の顔にちらりと視線をやる。表情は快感に歪み、虚ろな眼差しで、目尻は今にも涙を零しそうに潤んでいる。やがて彼はゆったり抽挿を繰り返しながら、秘密を打ち明けるように言った。

「まだ、半分しか入れてない」

え、と声を出して後ろを振り向くと、彼は両手でぎゅっと臀部を押さえつけた。

「挿れてもいいか。全部」

返事を待たないまま、彼は抉るように奥へ侵入してきた。亀頭が奥を押し開げる度に、強烈な快感が駆け巡る。口をいっぱいに開けて空気を取り込む。これで全部が入ったのだろうか、そう思っても、まだ終わらない。さらに肉壁を押し広げられる。初めて感じる衝撃が背骨を伝い、脳天まで突き上げた。

「はっ、うう!」

彼が更に突き上げた瞬間、彼自身の先端が、きつい内部に潜り込むのを感じた。苦しみと痛みと快感が交わって、咽び泣くような喘ぎ声があがる。内腿がぶるぶると震えた。今まで知らなかった種類の感覚だ。凄まじい異物感、けれども、気が狂いそうなほど気持ちいい。

「痛くないか」

奥に留まったまま、彼は訊ねた。痛いかどうかと言えば、何も入ったことのない部分を抉られる痛みは確かにある。だが痛いと言ったら彼は止めてしまうだろう。私はふるふると首を振って、上擦った声で答えた。

「よく、わからない……」

それから彼は、最奥から入り口までの路をゆっくりと出て行った。そして再び亀頭の出っ張りで襞を愛しながら、奥へと探索を始めた。一番奥に到達したと思ったら、ぐりぐりと腰を押し付けて更に刺激を与えた。

「ん、ふあっ、あ―――」

意識が飛びそうな快楽の海で、高杉くんと私が結ばれた一点は、狭小な空間で揺るがない場所にある。そこで閃光のような悦楽が爆発を繰り返している。私はあられもない悲鳴をあげたり、卑猥な言葉を口走ったりして、快感の大波に翻弄されるほかなかった。
額をシーツに押し付け、腰を高く突き上げる。自分から腰を前後させて動きを合わせるうちに、神経が体の中心に集まっていく。

「ああ!」

鋭い悲鳴と共に、体が跳ね上がった。緩んだ口許から、震えるような喘ぎが零れる。

「い、いく……だめっ、あっ……!」

全身が一気に硬直してから小刻みに痙攣し、それが走り去ると、四肢からどっと力が抜けた。頭が朦朧とする程のエクスタシーだった。膣の奥では絞り上げるような強い収縮が繰り返され、その度に甘い痺れと快感が爪先まで広がった。何度も何度も、寄せては返す波のように。

「ああ……」

暫くして断続的な収縮が止むと、私は糸が切れたようにベッドに突っ伏した。息が整うまで、一体どのくらいかかっただろうか。
薄目を開けると、だらしなく口を開けて、快感に慄く己の姿と、腰を優しく支えたまま、頭のてっぺんにそっとキスをする彼の姿が鏡に映っていた。限りなく、満ち足りた気分だった。遠慮や羞恥から解放されたセックスは、とても自由で素晴らしかった。鏡張りの最低最悪の部屋で、最高の興奮と快感を味わったのだ。



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