約束 〜 いつか、君に逢いに行く 〜

□第二十一章 変わらないもの
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攘夷戦争の終結から数年。坂田銀時という男は、流れ着いた街かぶき町で、万事屋の商売を始めた。
それからまた幾年が過ぎた頃、かぶき町の万事屋と言えば、誰もが、木刀を腰にさした銀髪の侍を思い浮かべるようになった。

多分、始まりは小さなことだったかも知れない。けれど、かぶき町で出逢った色んな人の万事(よろず)を、銀時は必死に護ってきた。その魂と、木刀一本で。
そうして、彼の回りにはいつの間にか人が集って、銀時は、街の顔になっていたのである。


かぶき町を闊歩する銀時の姿は、本当に様になっている。片肌脱ぎの着流しを粋に風に靡かせて、街行く人に軽口を叩きながら、実に悠々と歩くのだ。

裸一貫から商売を始めた銀時の苦労は、私には計り知れない。だが、銀時を見ているとわかる。かぶき町という場所で、きっとこの街も、住まう人も、銀時を愛しているのだということが。

銀色の髪が風に揺れ、陽に透けて光る様は、私にはとても眩しくて、いつも胸が高鳴る。

それは、何年経っても変わらない。
たとえ万年金欠でスボラでも、オヤジっぽくなっても、足の裏が臭くなっても。

私は、この男の魂に惚れているのだから。


  〜第二十一章 変わらないもの〜


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