約束 〜 いつか、君に逢いに行く 〜

□第十九章 春の兆し
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見廻組に志願して水戸を出てきてから、初めての冬が終わろうとしていた。冬の風に飛ばされるように、白夜叉と呼ばれた男は万事屋に、水戸藩士だった私は見廻組になって、私達はかぶき町という街で再び巡り逢った。

ただ寒くて長いだけの冬は、銀時との再会という出来事で、私にとって特別な季節となった。


銀時と交わした約束の時には、まだまだ早いかもしれない。私も未熟者でで、銀時に相応しい女じゃないかもしれない。
でも、銀時と再会して、離れていた間の不安はすっかり吹き飛んで、私は気付いた。銀時の笑った声や、肌の温もり、広い背中……思い出の中で、欲しかったものがすぐ側にある。
それは、何にも変えられない幸せ。

銀時がいると思えば、どんなに疲れていても凹んでいても、何倍にも強くなれるような気がした。


何処で何をしていたって、私は彼に引寄せられる。

坂田銀時という男の魂は、あの頃と同じ、銀色に耀いたまま。


  〜第十九章 春の兆し〜


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