約束 〜 いつか、君に逢いに行く 〜

□第十七章 銀色の欠片
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銀時の夢を見る時は、私はいつも銀色に包まれている。
水底を撫でるような、低くて優しい声。何度も私の名を呼んで、温かい手のひらで、そっと私に触れていく。

淡い夢の中のひとときは、目覚めとともに泡のように消えてしまって、私は銀時が此処にいないのだと知る。


愛しいものの思い出に浸り、記憶に頼ることしかできないのは、ひどく哀しくて淋しい。自分の手で触れ、この眼で確かめれれば、どんなにいいことか。

まるで、私を形づくる欠片を何処かに落としてしまったかのような、虚しさを日々感じていた。

この広い世界の何処か、その欠片を、私は捜し続ける。
何年でも。何十年でも。


  〜第十七章 銀色の欠片〜


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