七色の家族

□第四章 小さく、愛しいもの
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私が妊娠を知ったのは、出張先でひとり寝泊まりしている宿でのことだった。

生理が来ないことを生理不順のせいだとばかり思って過ごしてきたけれど、丸々二ヶ月来ないことに、そんな風に無視してもいられなくなった。薬局で隠れるように買ってきた検査薬、それに陽性反応が出たのを見た時は、やっぱりそうかと思う反面、どうしようと思ってしまった。


母親になるなんて、心の準備もできていない。こんな私で、本当に大丈夫なんだろうか。
自分が自分ではなくなっていくような不安が襲いかかってきて、それは私をガチガチに縛り付けた。一人きりで考えていると、どうにかなってしまいそうだった。

けれど、江戸に帰って銀時やお登勢さんに妊娠したことを話したら、その不安は糸がほどけるように、するすると引いていった。

なぜなら、これは私一人の問題じゃないから。
私達、家族に起こった出来事だから。


 〜第四章 小さく、愛しいもの〜


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