世界一初恋

□イヴの夜は
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「それ、俺とペアだから」

高野さんに優しい眼差しを向けられると、胸がドキドキしすぎて……どうにかなってしまいそうだ。嬉しい。

「律?泣いてんの?」
「泣いてません……」

顔を見られたくなくて高野さんの胸に顔を埋めたら、自分と同じように鼓動が速くて少し安心した。
高野さんも同じなんだ。そのままギュッと抱き締めてくれた腕が凄く温かくて、心地よかった。

「泣きたいくらい嬉しいのは、俺の方なんだけど。律、顔見せて?」

高野さんは俺の顔を上に向けさせ、ちゅっと短いキスをしたあと、もう一度唇を合わせてきた。差し出される舌は熱く、全身が痺れたような感覚に陥る。崩れ落ちそうな身体は、高野さんの腕がしっかり支えてくれた。

「律、俺もう限界なんだけど」

限界?

「あっ、すいません」

ずっと高野さんに体重を預けっぱなしなことに気付き、慌てて体を離すと、再び引き寄せられてしまった。

「アホか。そうじゃなくて、お前を早く抱きたいって言ってんだけど」

抱きたいって、いきなり言われても。あまりにも急な展開に、羞恥で高野さんを直視出来ない。
高野さんはと言うと、そんな俺にはお構いなしで、体をふわりと抱き上げベッドに直行していた。

「ちょっ……待って下さい」
「そんな顔で俺を煽るな、止まらなくなる」

俺の身体をベッドに沈めると、高野さんは首筋に舌を這わせてきた。時折強く吸われ、思わず声が漏れる。

「あっ……んっ……」

恥ずかしくて堪らないけれど、高野さんに求められることが嬉しくて、胸がいっぱいになってしまう。
俺に、何が返せるだろう?

「あの……一つ、聞いてもいいですか?」
「何?」
「えっと……高野さんが一番欲しかった物って何だったんですか?もう手に入ったって、言ってましたけど」

やっぱり『一番欲しい物』は自分があげたかった。もう過ぎてしまったことを悔やんでもしょうがないけれど。でも知りたい!

「はぁ……お前さぁ、そういうのホント鈍いよな」

高野さんはため息混じりに答えた。

「え?」
「そんなとこも全部好きだけどさ」
「勿体ぶらないで早く教えて下さい!」
「律、お前だよ」

また唇が重ねられる。
こういう時、どんな顔をすればいいのだろう。嬉しくてたまらないのに、どうしようもなく恥ずかしい。

「だからもう、俺の前から消えたりするな」

この時、改めて思ったんだ。高野さんは多分、人一倍傷付きやすくて壊れやすい人だから、ずっと傍にいてあげたいって。
と言うより、何よりも自分が傍にいたいのだ。そして、愛しい人の背中に腕を回し、ぎゅっと抱き締めた。

「────はい」


END.


20111224

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