過去拍手御礼文

□反省会
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今年もこの日がやってきた。年に一度の反省会。

「あぁぁ、間に合ってよかった〜!今回こそ落ちるかと思った」
「おまえなぁ、少しは学習しろ!」

原稿から解放され、吉野はドサッとソファーに勢いよく転がり込んだ。
『反省会』とは。
吉川千春先生こと吉野千秋が、この一年どんな進行状況だったのか、いかに酷いデッド入稿が続いたのか、行いを戒める為の年末恒例となっているものである。
こいつは締め切りを殆ど守れたことがない。毎回俺がどんな思いで頭を下げ、締め切りを延ばしているのかわかってるのか?むしろ、こんな締め切り常習犯を抱えているのに原稿を落とさない俺を褒めて頂きたいものだ。

「だいたいおまえは……」
「あ〜説教はもういいって!俺だって頑張ったんだからさ、『吉川千春先生お疲れ様』って労いの言葉とか、ご褒美とかねぇ〜の?」

勿論作家あっての雑誌なのだが。
俺が言っているのはそういうことではない。

「ねぇ〜トリ〜ご褒美は〜?」

そう言って吉野は、ソファーに身を預けたまま手を差し出し俺を見上げてくる。甘えるな!と一括してやりたいところだが、どうにもこの上目使いには弱いのだ。

「あげてもいいが。此処とベッド、どっちがいい?」
「は?何それ……って、ちょっ、トリ顔近っ……」

慌てて体を起こそうとする吉野の肩を押さえつけ、耳元で更に続ける。

「で、どっち?」
「やっ、そんなんじゃなくて……えっと、あの……」

こういう時の吉野は可愛い。顔を真っ赤にしているあたり、充分に意識はしているようだ。こいつには甘いよなと自覚しつつも、髪を撫でながらキスを落とす。こればかりはどうしようもない。

「んっ、ベッド……がいい」
「了解」



こうして反省会は何処へやら、作家と担当編集から恋人同士の時間へと変わった。

夜はまだ長い────。



END.

20111228 蓮


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