過去拍手御礼文

□年明けも相変わらず
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年明け、元旦。


「この雑煮旨ーい!」
「本当はお節とか用意出来れば良かったんだが、あれは時間がかかるからな」
「そんなことない、この汁ダシきいててスゲー旨いし」

2012年、辰年。年が明けたからと言って何かが変わるわけでもなく。いつもと何ら変わらない日常。ただ一つ、一年を通して年末年始だけは唯一ゆっくり過ごすことが許される時間だ。でも年末と言えば、今回は今まで以上に時間がかかり……ん?反省なんかしたか?この際そんなことはどうでもいい、全部あいつが悪いのだ。

「なートリ、これ呑もうぜ!」

そう言って吉野が大事そうに抱えてきたのは、純米吟醸酒の一升瓶だった。

「お前弱いんだから日本酒なんてやめておけ」
「えー?堅いこと言うなよ、正月なんだしいいじゃん!昼酒サイコー!」



────30分後。
あれ程止めたのに……。
吉野は「水みたいでいくらでも呑める」と、俺の言うことなんて聞きやしなかった。
案の定、今こいつはリビングのローテーブルに顔を真っ赤にさせ突っ伏している。このままでは風邪を引いてしまう。俺はスヤスヤと安心しきって寝ている吉野を抱き上げ、ソファーへ横たえさせた。

「はぁ……まったく世話の焼ける奴だな。」

俺は毛布をかけてやりながら、溜め息混じりに呟く。でも何故かこの寝顔を見ていると自然に顔が綻んでしまう。

────そんな時。

「ん……トリ、好……き」

寝言、か?
しかも告白ときたものだ。一気に心拍数が上がる。
無性に、キスしたくなった。
衝動を抑えきれず、吉野の頬に触れ顔を近付けたその瞬間。

「好き………手羽先……の甘辛煮……も、食えない……」
「鶏……?」

こいつムカつく!



吉野千秋が啼かされる羽目になるのは、これから数時間もあとのお話。


END.

20120105 蓮


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