狂桜ノ夜
□第一章
1ページ/7ページ
ハァ……ッッ……ハァ…
また、例の夢を見た。
この頃、毎日のように見る。
でも、どんな夢だったかは全く覚えていない。
あの夢を見た後、
まるでなにかに取り憑かれたよな感じがする。
思い出さそうと試みるが無駄である。
気味が悪い……。
むくっとベッドから体を起こした。
“あさ………”
夕梶(ゆうび)は幼いながらにきりっとしている目をすぅぅと細めた。
今、夕梶が寝ている寝所は西洋風の布団、いわゆる『ベット』と言われる物である。
これはかなり大きい物で大人が余裕で5人はのびのびと寝れる
脚は夕梶の腰の高さまである。
まだ幼い子供の夕梶がたった1人で寝るのにはあまりにも広すぎるものであった。
“淋しい……”
パタンとまた夕梶はベッドに寝ころがった。
部屋の大きさは20畳ほどである。
陽がさんさんと降り注いでいるガラスの窓は、どこか堅苦しいぐらい装飾が施されている。
赤、藍、紫
派手ではないが、豪華である窓の装飾。
机の上にも沢山の高価そうな物がおいてある。
宝石類は全て夕梶の母親のものであった。
昔、この部屋は夕梶の母親が使ってたのだ
それが、また一層夕梶を居心地悪くさせていたのだった。