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□君がそれに気づくまで
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いつからだったか。
この焼け付くような、激しい想いを抱くようになったのは。
小さい時からずっと一緒で
兄妹みたいにケンカして、泣いて、笑って。
保育園からの腐れ縁が、高校2年になった今でも続いている。
『ユーリ』
『お、フレン』
体育の授業からの帰り、廊下でフレンとばったり。
フレンも次は移動授業らしく、教科書を1冊と、愛用の水色のペンケースを持っている。
『体育だったの?』
『ああ。バスケ。』
『そっか。あ、ちょっと待ってユーリ…』
フレンが俺に近づいてくる。
え、ちょっ…と…?
『髪の毛、乱れてる。』
フレンの綺麗な長い指が、俺の左耳の辺りを優しく撫でる。
なぜかわからないが、それだけで俺の全身がボンッ、と音をたてて赤く染まってしまいそうになる。
『…ユーリ??』
『えっ、あ、なにっ?!』
『どうしたの??なんだか顔が赤いような…』
『きっ、気のせいだっっ!!!!!』
気づけばフレンを置いて走り出していた。
長い、長い、白く光る廊下を
どこへ行くともなく。
『ユーリ…??』
もうすぐ春が来る。