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□君がそれに気づくまで 2
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その日は晴れだった。






まだ雪が残る通学路を、小学生の子供たちが楽しそうに走りさってゆく。











『ちょっと、不自然だったか…??』






あいつとはいつも一緒に登校しているが、どうしてか昨日から意識してしまってしょうがない。

だからあいつを置いて先に来る事にした。



いま顔を見たら驚きと他の色々なものが爆発してしまいそうだ。






1人百面相をしながら、今日も錆びた校門をくぐり、玄関へと向かった。


















『おはようございます、ユーリ。』




『ああ、おはよ。』








教室に入ると、窓際の後ろから2番目の席のエステルが話かけてきた。

つづいて隣の席のアシェット、その右斜め前の席のジュディに挨拶を交わす。





『聞いたぜ、ユーリ!!』


『は??なにが??』


『お前とフレンの噂!!』




は?? フレン?? わけわかんね。




『まるで恋人同士みたいだったって聞いたわ。』




『はい!!私から見てもお二人はお似合いですよ!!』




『はぁ?!ちょ、ちょっと待て!!どーゆーことだ?!』










つまり、




廊下で親しげに話をするフレンと俺。
髪を撫でてやるフレンは、まさに恋人にしてやる行為そのものだったと。

そして顔を赤らめて走り去る俺は、その行為に反して恥ずかしがる恋人そのものだったと。








『あのな、俺とフレンはそんなんじゃ…』





『まあ、学園一の秀才くんと学園一の美人が親しげに話してればな。』


『あの秀才で人気のある生徒会長とユーリが話していたのを皆見ていて、その事でもちきりですよ!!』










…いま不本意ながら、本当ならどんなにいいか、なんて思ってしまった。



どうして??













どうしてだ??

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