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□君がそれに気づくまで 6
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『…もしもし』
『あっ、フレン…。あの…!!』
『ちょっとー、フレン??だれー』
え
『…なんか用?』
『あ、えと、…ごめん、何でもない…』
『そう、わかった。それじゃ』
電話はあっちから切られた。
冷たい態度。
電話越しに聞こえた女の声。
フレン
どうしたんだよ
―翌朝。
フレンの言う通り、家には迎えに来なかった。
俺からも行かなかった。
『おはよ、ユーリ』
『…おはよ』
『…?元気なくね?なんかあった?』
『別に。なんもねぇよ』
エステル達が話かけてくるのもよそに、そのまま机に突っ伏した。
ほっといてくれ、と一言言うと、あとは何もそれ以上は聞いてこなかった。
四時間め。
俺たちのクラスは音楽で、音楽室に移動しなければならない。
音楽室までたどり着くには、フレン達のクラスの前を通らなければならない。
いつもなら俺が通ると、『音楽か??サボらずに頑張れよ』なんて笑顔を向けてくるが。
その日は違った。
教室の奥で、1人の女子生徒と楽しげに話をしている金髪の男子生徒がいた。
その男子生徒はこちらを見たと思うとすぐに視線をその女子に戻してしまった。
そうか、フレン。
―その人が。