本棚

□君がそれに気づくまで 8
1ページ/1ページ





あれから数日がたった。





前よりは目が合う事はあっても、口はきかないまま。














ふと教室の窓から空を見やれば、鳥が大気圏にまで届きそうなほど高く飛んでいた。

街路樹には金色の暖かい光が降り注ぎ、道行く人はその眩しさに目を細める。





『ったく…、平和なもんだぜ…』








頬杖をつきながらポソリと呟くと、歩きながら教科書を読んでいたレイヴン先生に頭を叩かれた。






『ってーな!!なにも叩くことねーだろおっさんっ』




『だぁから、おっさんって呼ぶのやめてって言ってるでしょー』




『ちっ』




『はいはい、平和なのはいいけどちゃんと授業受けてねー』








そこまで言うとレイヴン先生は再び教科書に視線を落とし、何事も無かったかのように黒板に向かって歩き出した。











『はぁー…』





















気づけば昼休みになっていた。





さいきんバイトが忙しくて、授業中は大抵眠りに時間を費やす。







『なぁユーリ。フレン先輩さ、付き合ってるって噂だぜ』




『…あそ』




『いいんです??』




『なにがだよ。…フレンに彼女ができよーと俺には関係ないだろ』













…やっぱり、彼女だったんだ。







「「フレン??まだぁー??」」












教室でフレンが楽しそうに話してた女の子。




清純そうで、背も小さくて可愛かった。

…お似合いだった。

















『…っ、イチゴ!!食べないんだったら貰うぞ!!』





フォークを大げさに振りかざし、アシェットの弁当箱に向ける。





『ゆ、ユーリ!!イチゴ食べるから!!食べるからー!!』



















アシェットとイチゴ争奪戦を繰り広げていた時、中庭が騒がしくなってきたことに気付いた。




『なにかしら』



『喧嘩でしょうか??』







こちらからでは人が重なって見えない。
椅子から立ち上がって目をこらすと、信じられない光景が目に飛び込んできた。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ