Retrace:V Long story

□1... 出会いの旋律
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[リズの見る景色]


窓越しに桜の木が見える。

日本という、遠い国の木だそうだ。

きれいなピンク色の花びらははらはらと地面に落ち、地面をピンク色の絨毯を広げていく。


今日はあたたかい。

うん、いい日だ。


何故、こんなあたたかい日にわざわざ音楽室なんかにいるかというと、

私はピアノが苦手だから。


ノルティ家では、幼い頃から一流の教育を受けてきて、おかげで勉強には困ったことはない。

ただ、ピアノだけはレッスンを受けても一向に上手くならなかった。


ここ、ラトウィッヂ校では一流のレディとジェントルマンを産むための貴族学校だからピアノが必修…。


新学期早々に行われたピアノのテストで、散々な腕前を披露した私はいま、音楽室でピアノの練習をしていた。




♪..♪♪....


うーん…

楽譜は読めるんだけど…


♪♪..♪.....♪


あたたかい陽に照らさた鍵盤は不協和音を奏でていた。
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