長編
□ポケットの中
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滑り台や砂場がある公園で、高校生の男女がクレープをほおばっていた。
一見しても百見しても普通のその風景。
普通に囲まれた中、彼らはこんな会話をしていた。
「正臣ー、なんかポケットから出てるよ。」
「ん?ああ、生徒手帳か。」
「生徒手帳が入ってるなんて真面目ですね。」
「普通だろ?」
「私は入ってません。」
「僕も入ってないけど・・・」
「マジかよ・・・いったい何ポケットに入れてるんだ?」
「フランダースの犬。」
「よく入ったな!!」
「文庫本サイズだからかな?」
「それも無理だろ・・・帝人は?」
「・・・小型爆弾。」
「見なかったことにするから今すぐそれ隠してくれ・・・」
「んー…、わかった。後で隠しとく」
「それって、どこから仕入れてるんですか?」
「家族がそういうのに詳しくて、そこからだよ。」
「よく爆弾手にしたまま和やかに喋れるよな!?ってか早くしまってくれ!!」
そう、こんな会話をしていた。
普通の光景。
異常な会話。
それが彼女彼らの普通の会話。
ポケットの中