黒子のバスケ 小説

□記憶喪失な赤司と喋れない黒子の話
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注意点!
・これは2話目だよ!見てない人は初めから読んでもらえると、まだわかりやすいよ!
・駄文と誤字の間にやおいが産まれたよ!
・赤司様が記憶喪失だよ!
・黒子っちは喋れないよ!
・完結する予定は無いよ!行き当たりばったりだよ!
・タグを貰って調子に乗った結果だよ!

・取り敢えず酷いよ!

以上のことがOKな心が海のように広い方は、下へスクロールしてね!




































一体何だった?

僕が勝ち続けなくちゃいけない理由は何だったんだ。
理由何てもうどうでもいい。勝利は僕の必要な事なんだ。基礎代謝なんだ。勝利は当たり前。負けは許されない。
勝たなくてはいけない。僕は…誰を守りたかったんだろうか。霧がかかったかのように記憶が見えない。
何かに突き動かされるように勝利を絶対とした。
負けてはいけないと誰かが言う。強くあれと誰かが叫ぶ。

———叫んだ誰かは泣いていた。






赤司征十郎には記憶が無かった。
これだけを聞くと、色々と勘違いを起こしかねない為、もっと正確に言うと…
小学校低学年の対人関係の記憶が存在しないのだ。

何をバカな。記憶喪失など物語の中だけの話だと一笑されてしまうだろうが、誠に残念ながら事実である。
頭を打った外傷が原因ではないだろう、と医者は言っていた。
それはおそらく精神的なものだろうとも。
——精神的…記憶を失うほどの…?
理解出来なかった。記憶を思い出そうとすれば強い痛みが頭を襲い、必死に拾い上げた記憶も直ぐに掌を滑り落ちていく。
赤司が部分的な記憶喪失だということを知っているのは、家族と小学校の頃の一部の同級生だけであった。

赤司は記憶を無くしてから、ずっと振り回され続けてきた。
ぐちゃぐちゃに砕けた記憶の欠片に、残像のように残り続ける存在に。
顔も覚えていない。声も。姿も。


ただ、その笑顔だけが頭から離れずにいた。







黒子テツヤという人物に初めて会った時、一瞬だけ記憶の中に欠片だけ存在する人物と重なった。
だがそれは、ほんの僅かな間だけ。何故なら黒子は笑わなかったからだ。違う。——じゃない。——はいつも笑ってた。
実際のところ本当にいつも笑っていたのかは、この散々の記憶では判断がつかないが、それでも全く笑わない人では無かった筈だ。だが黒子はにこりとも、表情を動かそうとはしなかった。だから違う。
———もともと笑わない性格なのか…?
まるで表情筋が死んでいるような、無表情な黒子に何故か苛立ちが募った。
けれども、それを顔に出すわけにはいかない。必死に苛立ちを胸の奥に抑え込み、表面上の笑みを取り繕まった。上手く笑えた自信は無かったが。


苛立ちも募ったが何より無声に泣きたかった。







その夜、懐かしい夢を見た。小学校を転校した時の夢だった。


赤司は病院から退院した後、元々通っていたらしい小学校を転校した。
赤司自身、クラスメイトの名前を一人も思い出せない今の現状では転校しようがしまいが同じだろうと両親の意見に特に何も言うことはしなかった。
転校の手続きや何やらで何かと時間を喰われ、実際に転校したのはそれから一ヶ月後になったのだが。
そうして、引っ越した先で赤司はまた新たな出会いをすることになる。引っ越し先の学校での挨拶。先生に呼ばれて赤司は教室へと入る。このような中途半端な時期に転校してくる生徒は珍しいようで、皆どことなくざわざわしており、先生が咳払いを一つした。
その合図に会わせるかのように赤司は自らの名前をチョークにすらすら書いていく。そして書き終えると新しいクラスメイトの方へ向き挨拶をした。
「初めまして、赤司征十郎といいます。これからよろしくお願いします」
些か簡素すぎるが、クラスメイトは特に疑問に思うことなくきゃいきゃい騒いでいた。
それを赤司は特に興味も無さげに見ると、一人の生徒が目に入る。人より頭一つ分、いや二つ分ほど大きな紫色の髪をした男の子が座っていた。

ただ何となく、その目が自分と同じだと、そう強く感じた。




ふっと意識が浮上する。まだ辺りは暗く夜が明けていなかった。赤司は朦朧とした意識のまま思案する。
——何故、同じだと思ったのだろう…。
それは自分のことなのに、全くわからなかった。

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