黒子のバスケ 小説

□空に映りこむ色
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夏の花が夜空に花咲いて、マンションのベランダからその様子を眺めていた、二人の人物の顔を照らした。
花が消える頃に轟く轟音に驚いた犬が、甲高い声で一鳴きする。
轟音には対した反応をしなかった二人いた内の片方が、犬の鳴き声にビクリとその身を竦ませた。
そんな様子を僅かに目を細めて見ていたもう一人は、肩を軽く叩く。

花火はもう終盤に来ている。もうすぐ、最後に一番大きくて、美しい花が咲くだろう。
犬に対して最大限の警戒を高めつつ、空を見上げた。



「火神君、もうすぐですね。」

一見無表情に見えるが、空を見るその瞳には花火の粉が映り込み、何だか楽しそうに見える。
火神と呼ばれた男は、「そうだな。」と言い笑うと、空を見上げる水色の髪の少年の頭を撫でた。
撫でられた少年はむすっとしながら「縮むのでやめて下さい。」と怒る。

少年がこちらに向いたことにより、二人の視線は交差して混ざり合う。

すると火神は満足げに頭に乗せた手を離した。
少年は少し不思議そうに火神を見るが、その真意を測ることは出来なかった。








(花火の映り込んだ空より、朱色の映り込んだ空の方が満たされたから、何て知る由も無く)



 

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