小説

□夜中の着信
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パソコンを閉じて、まさに今から寝ようとしている帝人の携帯に一通メールが届いた。





件名は・・・

『甘楽からラブコールですよ!キャッ☆』


とりあえず、携帯電話を閉じた。

題名長っ!・・・じゃなくて、甘楽さん!?







絶対に見たくはないが、そういうわけにもいかない。
臨也さんのメールを無視すると、後が怖いのだ。ネチネチ、ネチネチ無限に続く嫌がらせ。
そんな目に遭いたくないならメールを見るしか道がない。前門の虎 後門の狼。結局どっちを選んでもどうせろくなことにならないのである。
無限に続く嫌がらせのウザさは、身をもってしっているのでそれはパス。
となれば、残っているのは・・・メールを開くしかない。
顔が引きつっている気がする。
超といっても過言でないぐらい、憂鬱な気分でメールを開く。






「今から二十分以内に家に来てくださいね♪
後、来なかったら・・・この前太郎さん家に仕掛けた盗聴器を使ってユーチューブに色んな事流しますからね☆」








あ、今なら平和島さんの気持ちがわかる気がする。
(後で絶対に盗聴器探そう)

冗談ではなく、本気でそう考える帝人の手に力がこもる。そんなに頑丈ではない携帯が、嫌な音をたてていた。
おそらくもう少し帝人に力があったなら、携帯は確実に壊れていたであろう。その事実はラッキーなのか、それとも男としてアンラッキーなのか・・・よくわからなかった。






チラリと時計を見ると、夜中の1時近い時間。
正直言ってもう寝たい。明日学校だし・・・。
もっと早くに寝とけばよかった・・・と後悔しても後の祭り。どうしようもない。






とぼとぼした足取りで目的地へと向かうために歩き始めた。・・・もちろん寝巻のままで。



歩いて二十分では到底つかない距離にある。
まぁ、前に味噌汁だけを作りに行ったときは二十分以内についたのだが。
それは、まぁ・・・テンションとか、ノリなどと呼ばれるものを使ったので(帝人の中では)ノーカウントである。















着きたくない・・・もう一生このまま歩いたままでいい。
そう願うが確実に足は進んでいて、しかもゴールがある以上目的地に着くのは至極当たり前のことである。



メールが届いてから約40分。

うん、頑張った。結構引き延ばせた・・・あ。



・・・でも着いた。着いちゃった。
今まで目線を下にしていたため気付かなかったが、目の前にはドア。




ずっと下を向いていたのになぜ着いたのかは、謎だがそれよりなによりチャイムをならさないとしかたがない。嫌だけど。

もうひたすら嫌なのである。

・・・別に彼のことが嫌いなわけでは無いのだが。
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