小説

□刑部と三成
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「三成…話がある」

「どうした刑部、こんな時に悠長に話している暇などない」

「そう急くな。主が思う以上に我も考えている…打倒家康を」

「…なんの話だ…」

「キヒヒ…家康の事となると……わかりやすい奴だ。まぁよい、簡潔に言うと…今のままでは主に勝ち目がないという事だ」

「刑部!!この俺が家康ごときに劣るとでも言うのか!?」

「ヒヒ……その短気も欠点のひとつだな…しかしそんなもの問題ではない。お前が家康に勝てないもの、それは……」

「……なん、だっ……」

「人徳だ」

「―!!」グサッ

「主には人望がない、大将としては致命的な程」

「う、煩い!!力でねじ伏せて従わせる、それが出来ていれば何も問題は無い!!」

「さてそうかな…?そんな圧力で従わせてる者など、いざという時役に立たないと思うが…」

「…………」

「………三成…」

「刑部……俺は…どうすれば…」

「なぁに、簡単な事よ。我の言う通りにすれば……」

「任せたぞ、刑部……」




「おい刑部、なんだここは」

「城下の童が集まる草っぱらだ」

「だからなんだ。どうしてこんな所に俺を連れてきた」

「わからぬか三成。人気者は子供に好かれているのが世上の常よ」

「いつ人徳から人気者に変わったんだ」

「キヒヒ……まぁ焦るな、そろそろ童が来る頃だ」

「俺は微塵も焦っていないぞ」


わー(子供達が遊びにやって来て)


「三成、今だ。あの輪に入れ」

「無理言うな刑部。あの輪に入った所で何も戦力に関係ないだろ」

「…家康なら入っただろうに…」

「ぐっ…奴に出来て俺に出来ない事はない!!」ダッッ


「アレ?なんかお兄ちゃんが来るよ?」

「ホントだ!遊んでくれるのかな…」


「…秀吉様っ…どうか私に遊戯の許可を!!い〜え〜や〜すぅぅうう!!!」

「ぎゃぁぁああ!!なんか来たー!!」ダッッ

「なっ!?何故逃げる!?」

「…三成、そういつもの調子では子供は怖が」

「ぎゃぁぁああ!!包帯お化けー!!!」ダダッッ

「―!!」グサッ



「…………刑部、もう帰るぞ…」

「あぁ…主には我がついている、何も問題はない…」




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