LivE(本)

□第伍 邂逅
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わたし達が新選組の一員になってから、三日がたった

まだ隊士さんたちの厳しい目や、幹部の人達との壁は、痛いほど感じるけど…
大体は慣れてきた



「はっ…!」



そんな中わたしは今、道場にて、平助君に特別稽古をつけてもらっている

ミユキちゃんは、夜原田さんに特別稽古をつけてもらうらしい
幹部の人達は、巡回で忙しいのにわざわざ自分達の自由時間を裂いてわたし達に教えてくれているんだ

少しでも、強くならなきゃ!



「やぁぁ!」



勢いをつけて、足を大きく地面に叩きつける
それと同時に持っている竹刀を平助君めがけて降り下ろす


カァン


竹刀と竹刀がぶつかり合う音が道場に響いた…

平助君はわたしの渾身の人降りを片腕一つの力で軽々受け止め、大きくため息をはいた



「駄目駄目、ぜーんぜんなってねぇよ」

「ぅ…」

「まず構え、もっと肘伸ばさないと刀に力いかない、あと動きにキレがない。」



自分の未熟なところを言ってくれるのはありがたいけど、そうズバズバと言われると…ちょっとヘコむ



「あとなぁ…」

「?」

「お前力無さすぎー、それでも男かよ」



…あ、そっか
平助君には女だってこと秘密なんだよね、確か ←

確かになぁ、わたし、ずっと病院か家にいたからほとんど体動かせたことないし
人より筋力がないのかもしれない


「まずは基礎体力からだな!」

「あ、うんっ!」



そう言うと、平助君は
わたしの隣に寝転がり元気いっぱいに言った



「まずは腹筋100回から!」






――――

―――

――










「さ…三…回っ!ハア…ハア…」

「…マジかよ!!」



平助君の叫び声に、わたしは汗だくのまま腹筋を一時中断して彼に顔を向ける

彼は信じられないような物を見る顔つきで
わたしのことをただ見ていた



「えと…どうかしました?」

「いやどうかしましたレベルの問題じゃねえよ!おま…なんでたかが腹筋三回やっただけでで五十回やりました的な顔つきしてんだよ!!」



わなわなと口を動かしながらわたしに的確なツッコミを入れる彼

まあ、わたし自身もこんなに腹筋が出来ないのだとは思っていなかったので少々驚いている

そう彼に笑いながら話したら彼は「少々って問題じゃねえよ!!」と怒ってしまった



「これは、徹底的に鍛え上げる必要があるな…」

「ごめんなさい…」



どうしよう…平助君
困った顔してる
迷惑かけないよう頑張ろうって思ったばかりなのに
わたし今、絶対迷惑かけてる…

そんな、目を下にして落ち込むわたしに気付いたのか、彼は少し考えたあと



「しょーがねーな!よし、今日は腹筋10回まで…頑張ろうな」



と、まるで励ますかのようにわたしの頭に手を置き、にっこり笑ってくれた



「……っ…うん」

「お、おま…泣くなよ!男だろ!」



彼の優しさに触れ、耐えきれず涙を流したわたしに平助君は慌ててなだめようとして、何か涙を拭ける物はないかと自分の服のあらゆる所を手で触って探すが

何も見つからず…

そのおろおろしてる姿があまりにもかわいくて



「………ぷっ…ふふふ」



思わず笑ってしまった



「ちょ…何でいま笑ったんだよ!」

「いや、大丈夫、何でもないよ」

「何かあるだろ絶対!」



そんなこともありながら

彼の可愛さに笑いをこらえ、わたしは腹筋10回を目指して頑張った




…今考えれば、彼は泣いてるわたしを笑わせるために、わざとあんな行動をとってくれたんじゃないかな

って、思うんだ






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