LivE(本)

□第陸 巡回
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あー…



「めんどくさい」

「なら付いて来なければ良かったのに」

「土方さんが行けって言うんですもん」

「3日前までのあの威勢はどこに言ったんだか…」



人混みを避けながら俺はひたすら、少し前を行く沖田さんに置いていかれぬよう歩く

三日前以来、この人と関わるのを極力避けていたけど

土方さんの命令で沖田さんの巡回について行かなければいけなくなり、しぶしぶついてきているのだ

巡回事態は別に構わない
まぁ少々めんどくさいが…これも新選組の人達にお世話になっている恩返しだと思えば苦ではない

だがこの人は苦手だ

あの酷い殺気を出された日から、俺の中で近づきにくい存在となってしまっている



「にしても平和ですねえ」

「本当にそう思う?」

「……そうやって人を惑わせるような事言わないでくれませんか?」

「はは、ごめんごめん…でも、油断できないことは確かだよ」

「……」



彼の言葉を半話無視で周りを見渡す

…にぎわう町並み

みんなこんなに笑顔なのに
なぜ彼がそんな事を言っているのか分からない

確かにこの時代は現代と違って治安が良くないのかもしれないが
現在の町並みを見る限り、今はそんなに警戒しなくてもよくないか?



「ほら、ミユキちゃん」

「はい?」

「見てみなよ」



いきなり沖田さんが俺の名前を読んだかと思うば彼は目の前を指差している

何かと思いその方向を見てみれば



「…!」



そこには



「オイ兄ちゃん、金出しやがれ」

「ちょっとは持ってんだろ?アァ!?」

「……」



町のど真ん中で現代で言うチンピラらしき者たちと

そいつらに囲まれている一人の青年がいた

俺が驚きで目を見開いているのを横目に沖田さんは



「ね?言ったでしょ、油断してちゃ行けないって…京都の町は何が起こるか分からないんだから」



と笑顔で呟く

………いやいや



「何笑ってるんですか!?助けなきゃ!」

「分かってるよ」



言うやいなや、沖田さんは颯爽と地を蹴りチンピラ達の元へ移動し
刀を向けた



「ねぇ、騒がしいんだけど、静かにしてくれないかなぁ…じゃないと…






斬るよ?」



彼から放たれたその殺気は尋常じゃなくて
やっぱりこの人は苦手だなと改めて思った

しかも彼は笑いながら殺気を放っているもんだから…
普通の人じゃまずできない

殺気の名人か?この人



「お…おまえは…新選組!?」

「おいやべぇぞ!!逃げろ!!」

「くそ…行くぞお前ら!!」



怖気付いたチンピラ達はそそくさと逃げて行った

俺は青年の元へと駆け足で近寄り声をかける



「あの、大丈夫ですか?」

「……」

「……あの」

「……」

「………おい」

「…助けてくれなんて言ってねぇけど?」



………。

何なんだコイツ!!
やっと喋ったと思ったら何だその反抗的な態度は!!

年は俺と大差ないだろうが反抗期か!?反抗期なのか!?



「おまっ…!」

「はは、ミユキちゃん、落ち着いて」



俺がキレているのとは裏腹に青年は落ち着いた様子で俺の事を見ていた(睨み付けていた)

そして、そいつは何かを思い出したかのように俺らに向けて口を開いた



「あ…おい、お前ら、白い鈴蘭の着物を着た黒髪のアホ面をしたお節介バカ女を見なかったか?」

「「………」」



なんだろう。いま

凄く…その女の子に同情してしまった自分がいる←



「いや?見なかったけど」

「……はぁ…どこ行ったんだか」
「何?あんたその子探してんの?」

「まぁ、な」



恋人か何かだろうか?

俺達と話ながらも目はキョロキョロと周りを見渡し、その子を探している



「手伝ってやろうか?その子探すの」

「は?…別にいらねぇよ、迷惑だ」

「………おんまえ…」

「相性悪いんだねぇ君達」

「コイツがこんな態度とってるから俺キレてんですよ!もういい!沖田さん行きますよ!」



ズンズンと青年を通り越し先に進む、沖田さんや他の隊士達は苦笑いしながらもついてきてくれた

んだよあいつ…俺が話しかけたとたんに毒のある態度になりやがって…

俺なんも悪いことしてなくね!?



「ミユキちゃんって結構子供なんだね」

「うるさいですよ!」





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