桜の中を舞う蝶

□第14章 仇
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−ガバッ

『!?ハァ…ハァ…』

沖「桜?」

『ゆ…め…?』

目を覚ますと屯所の自室にいて、目の前には兄上、土方さんそれと近藤さんがいた。


沖「大丈夫かぃ?ずいぶんうなされてたぜぃ?」


『兄上…。』


土「チャイナ娘に大体のことは聞いた。」


近「大変だったな。」

近藤さんがそう言い私を撫でる。



って…




ん?




ちょっと…待て…



じゃ…じゃあ……


『私…が…鬼蝶族だって…知ったって…事ですか?』
震える声で訊くと、三人は一瞬黙った。


そしてすぐに


頷いた。


『………。』

皆…

私から離れてく?


こんなバケモノから…



松陽先生の仇から…


皆……


夢の中で見た光景が頭の中で流れる。


私がうつむいてると…



近「ま、桜ちゃんが人間だろぉーが、天人だろぉーが知ったこっちゃないけどな!!」

近藤が笑って言う


土「テメェが鬼蝶だろぉーが何だろぉーが、テメェはテメェだ。」

土方さん…


『でも…でも…私は…バケモノで…』


先生の仇で……

沖「桜がバケモノでも、何でも、桜は俺たちの家族でぃ。俺の大切な妹でぃ♪」

家族……


『ぅぇ…ヒック…グス…』


家族。その言葉に暖かさが感じられ、私はいつの間にか泣いていた。



沖「…。」


−フワッ


『!?あ…に…上?』

気づいたら私は兄上の腕の中にいた。


沖「今日ぐらい安心して泣けぃ。」

兄上が優しい声で言う。



『ぅ…うわぁーん!!わぁーん!!』

兄上の声を聞いて、私の中の抱えてきた何かがキレた。


兄上の腕の中で泣いた。





皆…



ありがとう…。




こんなバケモノを家族って言ってくれて…




好いてくれて…




本当にありがとう…




私は…




あなた方を、絶対に守ります。



何が起きても…






でも…




私はまだ知らなかった…




運命の歯車が狂い始めていたことを……



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