戦国BSR|short
□伸るか反るか
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家路に着くと、今夜も居候が電気にテレビは点けっぱなし、家主の俺より先に風呂まで入って、挙句人の缶ビールまで空け、ソファで眠りこけていた。
「オイ、寝てんじゃねぇぞ」
「…ぁ…おかえりぃ。政宗ぇ…夕ご飯置いてあるからぁ……」
薄眼を開けて俺を確認すると、眠気と酔いが相まってまた眠りに就く。
「ったく、居候の分際で何考えてんだ」
もとはと言えば、郁が“同棲していた彼氏にフラれて住むところがないからしばらく置いてくれ”と泣きついてきたから昔馴染みのよしみで“しばらく”間借りさせてやっているだけのこと。
それが気づけば1年。
どれだけ長い“しばらく”だ。と呆れながらも意外と馴染んでしまっていることに気づく。
こいつとはただの腐れ縁じゃなかったのか…
「Shit!!」
どうしてこうも無防備なんだと郁の姿を見ると腹が立つ。
ソファでだらしなく横たわる郁の身に付けているものといえば、下着も着けず肩ひものずれ落ちたキャミソール一枚にむやみやたらに短いホットパンツだけ。
男の俺を前にして喧嘩を売ってるのかとさえ思う。
「寝るなら布団で寝やがれ!」
「…ぅん…じゃぁ政宗がベッドまで連れてってよぉ……」
「甘えんじゃねぇ酔っ払い。俺のベッドを使うんじゃねぇ布団だフトン。どこまで図々しいんだ」
「へへへ…何だかんだ言って政宗は優しいもんねぇ…いっつもベッドで寝かせてくれるじゃん」
しまりのない顔でヘラヘラ笑いながら郁は俺に抱きついた。
「舐めてんのか?痛い目みるぞ」
ったく、人の気も知らねぇで…
「大好きぃ…まさむねぇ…」
「Ha…OK」
寝惚けた酔っ払いの言う事なんざ、信用できねぇが、俺に灯をつけたのは郁だ。
その身をもって観念しやがれ。
首元のネクタイに指をかけると理性の箍なんてあっさり外れてしまう。