PP|免罪監視官

□PP|免罪監視官
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偶然、不測の事態、いや、これはけがの功名というべきだろうか…

街頭スキャナに引っかかった潜在犯を追い詰めたはいいが、図らずもその場に居合わせた非番の結城監視官が人質にとられてしまった。

ギノの眉間に深く皺が刻まれるのが横目で見て取れた。
エレミレーターに設定されていたドミネーターは、盾にされた結城監視官を前にロックされてしまう。

逆方向から挟み込むように追いかけてきた征陸のとっつぁんや縢もこの状況に手出しできずにいた。

「ほんと、ごめーん!!」

喉元に刃物を突きつけられて、生命の危機にさらされているというのに、開口一番出た言葉がこれだとは。
監視官という立場以前に女として人として恐怖心がないのが怖いくらいだ。
その証拠に結城監視官の犯罪係数は、潜在犯の男の犯罪係数が伝染していない。
常に20以下を示している。

「公安だろうが、なんだろうが関係ねぇっ!!」

ただ、この先の展開次第では結城監視官がサイコハザードを起こして犯罪係数が上昇する可能性も十分に考えうる。
一刻も早くこの潜在犯を取り押さえないことには。

「おい、分かってんのかっ!!コイツがどうなってもいいのかっ!!」
極度の興奮状態に陥った男は、盾にした結城監視官の喉元にナイフを押し当てながら、犯罪者にありがちな常套句を吐く。
結城監視官の白い首筋から赤い糸のような血液が流れる。

「ハハ、天下の公安様が手も足も出ねぇなんてな」
悔しいがこの男の言うとおりだ。
監視官を人質に取られ、ドミネーターを手にしながら苦々しくただこの状況を眺めているしかできない。

「お前らっ!!それ、よこせよっ!!」
男が指したのは俺の持つドミネーター。
「…狡噛、言うとおりにしろ」
「チッ、」
ギノの冷静な指示に従うしかない。
舌打ちし俺もギノも男の足元に、構えていたドミネーターを投げ捨てた。

「お前らもだよっ!!」
反対方向から駆けつけたとっつぁん、縢にも同じ要求が課せられる。

渋々それに従うしか現状では結城監視官の命をつなぎ止めておく手段はない。

「どうせ俺の人生これで終わりだ。この女、お前らの前で犯してやるから見とけ」
「キャッ!!」
男は壁を背に、俺たちを威嚇しながら、盾にした結城監視官の胸元を切り裂いた。
服が破れ、白い肌が露になる。

「仲間が犯されるの指くわえて見とけ、アハハハハ!!!!」


「狡噛…」
「あぁ、わかってる」

最悪の事態を避けるために、ギリギリまで結城監視官に耐えてもらう。
監視官の判断に従うのが俺たち猟犬の役目だ。




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