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□確かめて、縛って、捕らわれて、愛情をしるす
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行為の後の気だるさにうつ伏せのままベッドに身体を沈めた彼女。
透き通るような色素の薄い素肌は息を呑むほど美しい。
背筋の窪みに沿うように人差し指を這わせる。
「ん…まこちゃ、んっ?」
不意を突かれた伊紅さんはかすれた声で俺の名を呼んだ。
「綺麗だね…」
「くすぐったいって」
くすくすと笑いながら身体を捩って俺の指から逃れようとする。
「ダメ、逃げないで」
長い髪を掻き分け、白い項に唇を寄せた。
「っ…」
項から背筋を舌で這わせると、堪らないのか伊紅さんの甘い声が溢れてしまう。
伊紅さんへの気持ちを確かめるように一つ、一つ、丁寧にゆっくりと唇の感触を施した。
時折、チリっと焼けるような微かな痛みを与えると、白く滑らかな肌がシーツの波間をうねり、薄い色素の所々が徐々に赤く色づく。
「まこちゃん…やらしい顔してる…」
「え?そうかなぁ…やらしいというか嬉しいんだけど」
自分のものだと主張するように色づく赤につい口元が緩んでしまった。
「やだ、まこちゃん、あんまり跡つけないでよ」
突っ伏したまま、枕を抱きしめて恨めしそうに俺を見やる瞳が潤んでいた。
「見えないところだから大丈夫…それとも誰かに裸見せるつもり?」
「そんなわけないって…」
もちろんそんなことは分かっている。でもこれから離れてしまうかと思うと不安がつきまとう。
かと言って俺には伊紅さんを引き止めておく理由もない。
だから少しでも永く残るように腰に強く痕を残した。
「んっ、」
濡れた唇から微かにこぼれ落ちる吐息さえも綺麗で愛おしくて堪らない。
「伊紅さんとっても綺麗だよ…」
彼女が自分の目で見えないところに痕を残して満足げに笑う俺。
「やっぱ、いやらしい顔して笑ってる」
「そう?」
明日再び実家を離れると言う伊紅さん。
「まこちゃんと離れるの寂しい」
「それは俺だっていっしょだよ」
振り返った伊紅さんに唇を重ねた。
この夜が明けるのを惜しむように、何度も何度もキスを交わす。
「もう一度いい?」
「…うん」
伊紅さんの前では何度だって熱が上がる。
「大好きだよ」
そう呟いて、愛でるように慈しむように綺麗な身体に幾つもの痕を作った。