君に『さようなら』を告げた。
あの日から一体、どれぐらいの年月が経ったのだろう。
幾つもの誕生を祝福して、幾つもの死を見届けた。
時間は正確に残酷に流れていく。
ただ、俺を置き去りにして。
老いず、朽ちず。
穏やかな日々を過ごしていく中で、ふと思い出す
『君の声』『君の匂い』『君の姿』『君の感触』『君の温度』『君の存在』
鮮やかだったあの一瞬は、膨大な記憶に飲み込まれながら揺らいでいく。
それでも、最後の君の涙は、
俺の心臓に焼き付いていて、
時折、鋭い痛みを甦らせる。
まるで、あの夜空の幽かに瞬く星のように透明な雫。
綺麗で儚くて、温かい。
その涙を拭ってあげる事が出来なくてゴメンな。
「俺は共に生きていく」
「この記憶」
「この感情」
「この痛みも。」
永遠の命。
ただ、全てを見守る使命。
こんな無力な俺にも出来る、
たった一つの事。
「……なあ、お前は最期まで幸せだった?」
どれだけ、願っただろう。
せめて、君の最期は笑顔で終われますようにと。
俺はこの涙だけで良いから。
【リプレイ】
そうして、
また記憶の鱗片を再生するんだろう。
目を瞑れば浮かんでくる美しい君の涙を。
* * *
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