庭球短編小説

□【Body talk】
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肌に触れるシーツさえウザッタイ…
隣で寝転んでいるのは愛する人…(?)
最後にまともに言葉を交わしたのは…いったい何時だっただろう…
ねぇ…貴方に俺の姿は見えていの…?

【Body talk】

瞳の端に映る真っ白なシーツに、鮮やかな夕日の色が映し出されている…もう夕方…。
リョーマはゆっくりと横になっていたシーツに絡まった裸体を起こし、隣で寝ている恋人に視線を向けた。
リョーマが起きた事に気付いた不二は瞳だけ向けてリョーマを見る。
「帰るの?」
短く発せられた言葉。
「んっ・・・帰る・・・」
「そう。」
「うん・・・」
当たり前の様に服を着ながら、帰り支度するリョーマ。そんなリョーマに背を向けたまま寝転んでいる不二。
いったい何時からこうなってしまったんだろうね…。
リョーマは、当たり前になりつつあるこの状況に僅かに溜息を洩らしつつ、不二の部屋を出て、家を後にした。
落ちて行く夕陽に、静かに大地が色づき始める・・・
鮮やかな夕陽が、リョーマの淋しい心をシクシクと煽っていく。
…何時からだっただろう…SEXの後に言葉を交わさなくなったのは。
何時からだっただろう…帰り際にKISSを交わさなくなったのは…。
それさえも、もう忘れてしまった…そんなに前のことでも無い筈なのに…
付き合い始めた頃は沢山話しだってしていた筈…。
沢山触れて…幾ら求めたって足りないくらい求めてた…。
心だって…身体だって…。
それなのに…今の自分は…。
まやかしだった?…あの想いは…?
「不二先輩は…きっともう僕を好きじゃないんだろうな…」
そして自分も……

変わっていく人の心
変わり始めた自分の想い

この先には、多分何も残りはしない…。
2人の気持ちが寄り添っていないのだから…。
それはお互い解ってる…。

心がすれ違っているのを感じているから…それでも歩み寄る努力も面倒だって…お互いが思ってる。

それでも体を重ねてしまうのは
きっと…安心するからなんだ…

慣れた体温と、相手の香りに…

あって当たり前の様に感じるその感覚…手放してしまうのが惜しいから…。
もう、どちらの香りかも解らない…。
それ程までに絡まり合ってきたのだから…。
(どうすればいい・・・この関係・・・・・)
リョーマの口から洩れる溜息。自分から離れて行く事が出来なくて…だからと言って、離れて行かれることも怖くって…
(駄目だな…これじゃ…)
こんな風に思っていても相手に他に想う人が出来てしまえば惜しくなる。自分の中の醜い心…。
リョーマは足を進めながら小さく笑った。
どうせ駄目になるかもしれない恋愛なら…直ぐに別れることも無いかもしれない…。
そのうち話しでもしてみようかな…あの人と、俺で…。
ベットの中で言葉でも交わそうか…。
ソレも悪くない……多分  多分  多分
帰路を辿るリョーマの背中を、夕陽が明るく照らし出す。
明日の帰り道は、何か変わっているのだろうか…。
仄かな期待を小さな胸に灯して歩く。
「僕はあの人が好きな筈だから・・・」
何となく覚えているその感覚に、リョーマは懐かしさすら感じていた。

*END*

*あとがき*

リョーマ君の独り言形式のこの小説。イヤッ小説とは呼べないですが(汗;)朱珠の書いた詩を元にちょこっと手を加えた運びになっています。
長く付き合っているとこんな状況に陥る事も会ったりするかな・・・っと思って書いてみたのですが、皆様はどんな風に感じたでしょうか?多分「別れりゃいいじゃん・・・」って方も結構居ると思うのですが、人間そう思っていても中々手放し難い・・・なんて時もあったりするんじゃないかな・・・っと朱珠は思ったのですよ。
っと、そんな感じで出来上がったお話です。
ここまで読んでくださった皆様、有難う御座いました。
でわでわ、皆様が再び遊びに来てくださることを心から祈っています♪

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