庭球短編小説

□【雨の七夕】
1ページ/1ページ

穏やかな風の流れる夜…そんな日は…きっと君を想うよ…
今日なら尚更…天の川を…見つめながら…

【雨の七夕】

ゆっくりと開いたカーテンの向こう側で、シトシトと雨が降っている。ガラス窓についた水滴が、何だか淋しげに流れ落ちた。
不二はそっとガラスに手を当ててみる。ひやりとした感触…。
「今日も雨だ…」
小さく呟いた言葉は…どこか物悲しげで…
去年も七夕は雨だった…一昨年も…その前も…
雲で覆われた空では、星の欠片も見つけられない。天の川など見つけられない…。
淋しげに落ちてくる雨を見ながら思いを巡らす。…こんな雨の日じゃ織姫と彦星は会えないのだろうか…。

一年に一度しか会えないと言われている2人

その日に会えないんじゃ・・・

救い様が無い…

『七夕に晴れたらさ、一緒に星見に行こう…』

これは他愛の無い会話…些細な言葉…でも…楽しみにしていたんだ。
空が晴れてくれるのを…一緒に星を見たいから…河原の土手にでも寝転がって、君と2人で…星空を…

それでも空は泣いたまま
一向に止む気配を見せはしない

『今年が駄目でも、来年があるじゃん、ね』
そう言って、ちょっぴり残念そうに笑った君…
ベランダに続くガラス戸を開け、不二は空を見上げたまま外に出た。
蒸し暑い空気と、重たい湿気が体を包む。
街灯に照らされた粒子のような雨粒たち…人の気も知らずにキラキラ…キラキラ…輝いている…。

空から舞い落ちる小雨は

まるで空中を舞うように

無数にある星屑のよう

それを見て 不二はなんだか天の川の縁にでも立ったような感覚に囚われた。光を反射しながら、舞い躍る水滴。それはまるで天の川…。自分はまるで彦星を待っている織姫のよう…。

降り止まぬ雨の中で

静かに思う

来年こそは晴れておくれ… と…

そしてまた空を見上げる…舞い降る星屑…この厚い雲の彼方で、2人は出会う事が出来ただろうか…。せめてソコには幸せな時間が流れていて、…そう想わずには

いられなかった


*END*

*あとがき*

やってしまいました、自己満足小説(ぉぃ
何だか雨の七夕が続いたので、こんなモノを書いてしまった次第です。今日も起きたら雨が降っていて、何だか少し淋しくて・・・なのでこんな感じのお話が書きあがってしまったわけなのですよ(苦笑
雨の降らない七夕・・・最後に空を見上げたのは何時だったかな・・・なんて思って書き上げたお話です。
雲の彼方の宇宙では、雲や雨など関係ないわけですから、2人の星が上手く出会っているといいな・・・なんて柄にもなく思った管理人なのでした。
ここまで読んでくださった皆様、こんな作品で御免なさいです。
これに懲りず、また遊びに来ていただけたら・・・っと切に願う管理人です。

                            

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ