キリリク庭球小説

□【All of you】☆R15
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手に触れる体温だとか・・・


何だか安心する匂いだとか・・・



それよりも俺を安心させるものが
あるんだよね



悔しいから
それはまだ内緒だけど・・・




All of you




「英二・・・そろそろ起きたら?」


良く聞き慣れた声が耳元に響いて
菊丸はゆっくりと重たい瞼を僅かに開けた


「・・んんっ・・・・」


開けた瞳に見慣れた不二の部屋の天井が映る

自分の居る場所に僅かな微笑を浮かべ
ゆっくりと、また瞳を閉じる


少しだけ伸ばした手に掴んだのは
柔らかな羽布団





自分の体温で暖まっているそれは何だか柔らかな香りがする


だって・・・それは不二の布団だから・・・


頬に触れる枕からも心安らぐ香りがする


だって・・・それは不二の枕だから





今日は久々練習の無い日曜日・・・

良い天気の外へは行かず・・・恋人である不二の家での

久し振りの逢瀬・・・





菊丸の髪にはほんのり不二の香りが移っている

汗の乾いた体からも・・・微かに愛する人の香りが・・・




情事の後の気だるさに任せて眠りについた体は
衣服を纏わぬまま


肌に触れるシーツも心地よく

菊丸は小さく伸びをした





「ちょ、・・・英二、痛いよ・・・」

伸ばした腕が隣に横になっていた不二の肩にぶつかる

菊丸は無造作に触れた不二の肩を抱き寄せた


眠たい瞳は閉じたまま


「えっ・・ちょっと英二・・・」


寝返りを打つように抱き寄せた不二に片足上げて圧し掛かる

まるで抱き枕を横向きに抱えるように・・・


布団の中で布を纏わぬ肌が触れる

菊丸の肌と   不二の肌が

ピタリと合わさる





不二を背中側から抱きしめるように菊丸は抱えると

その髪の中に鼻先を埋めた





起きているのに瞳は開かない・・・

この感じが なんだかとても安心するから・・・





「落ち着く・・・」





一言そう洩らした菊丸に 不二は小さく笑った


そう・・・こんな時が一番素直に幸せだって思えるんだ・・・


寝ぼけたように不二に抱きついた菊丸の腕が
ゆっくりと動き不二の髪を撫でる


耳元にばらけ落ちる髪が
サラサラと小さな音を奏で不二の頬を擽る


「ふふっ・・・」


何が可笑しい訳でもないけれど
自然に微笑が口から洩れた


「・・・にゃに?」


瞳は開けるでもなく菊丸が尋ねる


零れそうになる幸せの微笑を飲み込みながら不二は答える

“なんでもないよ・・・”

っと





その言葉に菊丸はゆっくりと瞳を開いて
不二の体を自分の方に向けさせた


寝ぼけ眼が潤んだまま不二の顔を映し出す


「なんだよぅ・・・なんで笑ったの・・・?」


微妙に拗ねた口元が愛らしい


(僕を抱いてる時は、結構セクシーな顔するのにな・・・)


今見てる菊丸の顔とはまるで別人・・・
そう思うと 自然と口元が緩んでくる


(英二のあんな顔知ってるのって・・・きっと僕だけ・・・)


そんな事実が堪らなく嬉しい


「あぁ・・・また笑った・・・」


拗ねた顔が今度は頬を膨らました
それを見て “プッ” っと小さく噴出す不二


「チェ〜・・・言わない気かよ〜」


不服そうに言いながら菊丸の手が
そっと不二の自身に伸ばされた


「んっ・・・!」


驚いた様に目を丸くする不二に
菊丸がまるで悪戯を考え付いた時の子供の様にニッッと笑った


優しい手付きで触れたソレを
ゆっくりと握りこみ 不二が逃げてしまわないように
菊丸は がっちりとウエストを抱え込んだ


「なんで笑ったんだよぉ・・・」


答えなんて多分そんなに・・・もう聞きたい訳でもない

思いついた意地悪がちょっと楽しいだけ・・・かも



「何してんの・・・英二・・・」



握りこまれた自身に意識が集まる

不二は僅かに身を捩って 菊丸の腕から逃れようとした



さっきまで寝ボケた顔をしていたのに
今の菊丸は 楽しそうに笑っている


大きな瞳を  キラキラさせて・・・


「ぁっ・・・」


僅かに洩れる甘い声・・・


甘い声の洩れ出る唇に
菊丸は温かなキスを落とした


「・・んっ・・・・」


キスを受け止めながら
不二は全力で菊丸の腕を外しに掛かった


「イタタッ・・・」


キスしていた唇を離し
菊丸は瞳をギュッと閉じて不二に触れていた手を離した

不二の指先が 菊丸の腕をつねり上げていたから・・・


「イッテェ〜・・・」


拗ねた顔で不二を見つめ菊丸はふくれ顔


「英二が触ったりするからだよ・・・さっき何回やったと思ってるの。」


溜息混じりに不二が言う

チェっと舌打ちする菊丸



「もう一回くらい良いじゃん・・・ケチ・・・」



言いながらも不二を抱きしめる菊丸
その表情は それでもなんだか幸せそう・・・



「ケチって・・・僕の身にもなってよ。明日は部活あるし・・・結構辛いんだよ」



苦笑しながらも不二も菊丸を抱きしめた



「はいは〜ぃ・・・我慢しまぁ〜す・・」



そして又瞳を閉じる菊丸





ねぇ・・・気付いてないのかな・・・
そういう君こそ微笑んでるよ・・・





菊丸のそんな表情に不二もつられた様に微笑む







菊丸の顎に不二の髪が触れる

柔らかく・・・



菊丸の肌が不二の体温を感じる

温かく・・・



でもね・・・それよりも安心するのは不二の雰囲気

君の周りに流れる穏やかな空気



だから例え触れていなくても
だから例え香りを感じられなくても



幸せだって思ったりするんだよ



それが遠くから見ているだけでも
それが電話の声だけでも



なんだか俺だけが好きみたいだから
そんな事は教えてやんないけど



不二の全てが好きなんだ・・・





「・・・ねぇ・・・英二、また寝る気?」





不満そうでも無く
つまらなそうでも無く
不二が聞く





「んにゃ・・・起きてるよ。折角一緒に居るのに、寝てたら勿体ニャイ・・・」

「良く言うよ・・・さっきはぐっすり眠ってたくせに」




抱き合ったまま  笑いあったまま  一日が終わっていく


そんな素敵な日曜日





ねぇ・・・ 次の休みが


楽しみだね・・・





*END*






 *あとがき*
こんにちは皆様☆【All of you】如何だったでしょうか。今回もまた募集リクです。
リクして頂いたタダ吉様、本当に有難う御座いました♪
菊不二で菊丸君攻めの、ちょっとエッチな・・・っとのオーダーだったのですが・・・
少し甘くなり過ぎてしまった感が・・・。だ、大丈夫でしょうかねぇ・・・。
触れる感触だけではなく、愛するものの香りだけではなく・・・幸せを感じるのは君を司る全てのもの・・・みたいな、そんな事が伝わってくれたら嬉しいな・・・なんて思いながら書いた作品です。伝わらなかったら、朱珠の文才が乏しかったのだな・・・っと納得して下さいませ;
朱珠の中で菊丸君はガツガツ迫る攻めタイプではなく(あくまで朱珠主観)じゃれあいの延長にSEXがくるようなイメージなのです。
なので、休日の2人はこんな感じだったら・・・っと妄想・・・イヤッ、想像を・・・。
こんな感じで良かったでしょうかタダ吉様。朱珠は今不安で一杯です。勝手に甘々系にしてしまったので;宜しかったら掲示板なんぞに感想貰えると嬉しいです。
でわでわ、リクして下さったタダ吉様、ここまで飽きずに読んでくださった皆様、本当に有難う御座いました(ペコリ)でわでわ、この辺で失礼させて頂きますです。

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