キリリク庭球小説

□【愛する小鳥】★R18
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愛する小鳥が 自由な空へ憧れてしまったら

   羽をもいでいでしまいましょう ・・・僕から遠くへ行ってしまわぬよう・・・



愛する小鳥が 僕ではない誰かの為に歌うなら

   喉を潰してしまいましょう ・・・その者に愛を歌えぬよう・・・



愛する小鳥が 僕の傍を離れ様とするのなら

   命のともし火を消してしまいましょう ・・・手に入らぬものなら・・・

                                  ・・・ナキモノニ・・・




   愛する小鳥





「・・・イヤダッ・・・やめて不二っ・・・」

真っ白なシーツの上に転がる菊丸は、今まで自分が着ていたワイシャツで両手を背中側で縛られていた。
その身体に纏う布は無い・・・。

太腿はおお引く開かれ、その中央の蕾は命一杯開かれ不二の自身で貫かれていた。
真っ白なシーツには鮮血の跡・・・

室内に木霊す淫猥な水音は、愛液が奏でる甘い音ではない・・・
血が肉肌を擦る・・・何ともいえぬ肌寒い音・・・

夕暮れ迫る不二の部屋のベットに、苦しそうに蠢く菊丸の体・・・
不二に抵抗すら許されず乱暴に組敷かれてしまったカラダ

本当なら何時も道理の放課後を過ごす筈だった・・・

そう・・・さっきまでは・・・

暴れ不二を拒んだ菊丸の身体には無数の打ち身・・・
赤くはれている部分もあれば・・・血の滲んでいる場所もある・・・

生まれて初めて本気で人を殴った不二。
打った拳よりも・・・心が痛む・・・。

「・・・何故逃げるの・・・。」

ポツリ呟かれる言葉・・・。
その瞳は殴られた本人よりも傷付いた色を宿している・・・。




勢い余って手折った羽・・・

太腿にべったりとつく 痛々しい真っ赤な血・・・

涙でぐっしょりと濡れた頬・・・

小刻みに震えるカラダは ・・・まるで怯え竦んだ小鳥のよう・・・




不二が腰を動かす度、菊丸の下腹部に激痛が走る。
痛いのは菊丸だけではない・・・
何の準備も施されてはいない蕾に、無理やり自身を突きたてた不二もまた、痛みは感じる。
それでもやめることなど出来はしない


やっと触れたカラダ・・・感じる事など許されはしない  愛しい人の体温


「…イタッ・・・不二、お願い・・・やめて・・・」

懇願する瞳は涙でグショグショになり、食いしばる唇からはチラリと血が見える。

そんな言葉で止められるくらいなら、無理やり組み敷いたりなどしはしなかった。
何度も自分で言い聞かせた、そんな事はいけないことだと・・・
望んではいけない事・・・大切な人にして良い事ではない・・・。



穏やかに微笑み、何時だって菊丸を見守ってきたのは不二・・・。

菊丸が何時でも自由でのびのびやっていけるように、大事に・・・大事に・・・守っていた。

友達でも良い・・・菊丸の傍に居られるなら・・・

頼ってくれるなら・・・僕が菊丸の特別な人じゃなくても たぶん我慢出来ていたんだ・・・


                                              そう・・・今までは・・・・


何時か菊丸にも大事な人が出来てしまうかも・・・
そんな事は不二にだって解っていた。
それでも、そんな人が出来たら応援してあげようと・・・
悲しくても・・・辛くても・・・それで菊丸が幸せになってくれるなら・・・っと

自分とは違い、素直で純粋な菊丸・・・押しきれば・・・自分のモノになってくれたかもしれない・・・

でも、それじゃ全然意味が無いから・・・
好きな人が、自分と一緒に居て・・・幸せになれない事が解っているなら・・・ 手を引くのも愛情・・・

1年の頃から恋愛の相談だってのってきた・・・
相手の名前を頑なに明かさぬ菊丸・・・それでも好きな人の事はよく話してくれていた・・・。
『俺の好きな人はね、とびっきりの美人なんだ・・・凄くモテルし・・・俺なんかじゃ多分駄目なんだけどね・・・・』
おどける様に好きな人の話をする菊丸、恥ずかしそうに言う菊丸は、この上無く愛しく感じた。

それが例え自分ではなくとも・・・菊丸の心が選んだ人・・・
それはそれで・・・仕方の無いこと・・・

誰よりも傍に居る自分より・・・菊丸の心が選んだ人なのだから・・・


自分だけが信頼されていると思っていた・・・
自分だけが菊丸の相談を受けていると思っていた・・・
自分が・・・トモダチの中では一番だと・・・

そう思ってしまうのは自分の奢りかも知れない・・・

それでも、それはしょうがない・・・っと誰もが言うであろうほど、不二と菊丸はずっと傍にいたのだから・・・。
まるで一緒に居る事が自然な程に・・・。




痛がり逃げようとする菊丸の腰を、不二はしっかりと掴み、自身を突きたてる…。
そのたびに菊丸の瞼はキツク閉じられ、涙が溢れ出す。

「ヒッ・・イヤッ・・・くっ・・」

咽び泣く様な悲痛の声が不二の耳をかすめる・・・。
   (何故・・・こんな事に・・・)




本当ならあのテーブルで今日は一緒に宿題をしているはずだった・・・。
不二の目線の先・・・乱れ荒んだテーブル・・・。

クシャクシャになったノート・・・倒れたグラス・・・床に滴るオレンジジュース・・・

菊丸があんなコトを言わなければ・・・
イヤッ・・・あんなものを見なければ・・・








「ウワッ・・・冷っめた!」

驚いた様に眉を顰めた菊丸、口に入れようとしたオレンジジュースが零れ
白いワイシャツの胸元にオレンジ色の染みをつくっていた。

2人でいつもの様に宿題をしていた、たった1時間前のこと・・・

「あ〜ぁ・・・染みになっちゃうね。ちゃんと拭かないと・・・。」

手早くティッシュを手にした不二が、菊丸のワイシャツの胸元を軽く掴んだ。
鎖骨の下・・・赤い鬱血を見つけてしまったのはその時・・・。

何気なく拭く振りをしながら“どうしたの、それ・・・”っと尋ねた言葉に、菊丸が言った答えは意外すぎるものだった。

ちょっとだけ躊躇うように・・・言われた言葉・・・

“大石とHしちゃった・・・”
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