ギアス短編小説

□【オシアヌスの香り】
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男同士じゃ恋愛になど成りえない…。
解っていながらも、…イヤッ…解っていたから尚更強く惹かれたのか…。

ユフィーに対する罪悪感を抱えたまま
周りから許されざる想いだと自覚しながら
…それでも育ってしまった心。

ルルーシュの香りが鼻先を掠める度、スザクは言い知れない欲望が生まれてくるのを感じていた。

白いうなじを黒髪がかすめる度、そこに触れてみたいと…。

薄く柔らかな唇が自分の名を呼ぶ度に…あらぬ想像に掻き立てられた。

じゃれ合いの延長の様に互いの肌に触れる楽しさを知っていった2人。
そこには愛の言葉も、交わす約束も存在しはしなかった。

思春期のちょっと行けない遊び。

周りに内緒の2人だけの秘め事。

初めは触れるだけだった。
手で触って…一人エッチの延長のような…。

だが、触れる事に慣れてしまえば、その先など容易い。
そうなる事が当たり前だったかのように、いつしか体を重ねるようになっていった。



静かな寝息を立てるルルーシュの肩から掛布が滑り落ちる。
青く淡い月明かりに照らし出された鎖骨がスザクを誘う。

そっと手を伸ばし指先で撫でると、先ほどまで汗を纏っていた肌がスザクの指先にしっとりと吸いついた。


「遊びだって構わないよ。…どうせ男同志だし恋愛ってのは不自然じゃない。、皆に内緒で…少し楽しむのも悪くない…そうだろ?」


躊躇うルルーシュにスザクが言った。

ルルーシュは躊躇いながらも受け入れてしまった。

記憶が戻ったことに気づかぬ相手。
触れる肌は心地よく、もぅ…二度と自分に微笑みかけてはくれないと思っていた相手からの好意。
予想だにしなかった事態…しかし、不思議と嫌悪感は生まれてはこなかった。

他に並ぶもののない、ゼロという存在に与えられる重圧。
安眠を妨げるように眠っていても思考は動き、夢の中までも侵食していった。
…癒しが…スザクの腕の中には…安らぎが存在していた。

与えられる快感に身を任せ、思考を手放してしまえる麻薬のような時。
「遊びだって構わない…。」…ルルーシュはスザクの言葉に甘えた。

自分には大事なことがある。
やらなければいけない事も、解決させなければならない問題もやまずみで…。
衰弱した心に、…乾いた心に…与えられた潤いをルルーシュは突き放す事が出来なかった。





指先でたどる様にルルーシュの鎖骨に指を滑らせるスザク。
不意にルルーシュの黒く細い睫毛が揺れ、胸が酸素を取り込もうと大きく動く。

ルルーシュの静かな呼吸。
非情に時を刻む時計の針の秒針。

他に音の無い …閉ざされた空間。




本当は遊びでいいなんて思ってなんかない。
会えない時は苦しいし、連絡が来れば喜んでしまう。

家に帰ってシャワーを浴びるのを躊躇うほど…君の香りを消してしまう事が惜しいんだ…。

自分の体に残る僅かな残り香…それを消した瞬間、次はあるのかと不安になる。



ねぇルルーシュ…この香りは、きっと僕を苦しめ続けるよ…。

君の姿が見えない時こそ、その存在は大きくなってしまうんだ…。






*END*




:::あとがき:::::

読んで下さった皆様、有難う御座いました。【オシアヌスの香り】如何だったでしょうか(^^?
このオシアヌスというのは、実は商品名なのでどんな香りなのか気になる人はボディーショップに行って嗅いでみてください(笑)
緑色の綺麗な液体で、飾っておくだけでも綺麗だったりするんです♪
管理人の愛用品でもあるのですが、ルルーシュのイメージにピッタリだな〜なんて超個人的感覚で品名乱用です(ぉぃ
愛しい人の香りが体に残ってるうちは、少し幸せ気分だったりするのですが、シャワーで流した後…ふと寂しくなる時があったりするかもしれないな…っと思いながら書いたこの話(苦笑)
恋人同士…そんな関係は法律で守られたものではないし、当人同士の口約束みたいなものですが、あればそこに心を仕舞っておけるものだなっと。
なければ不安で、確かめたくなる…あるいは、道ならぬ恋であればその不安を抱えたまま過ごす…。
置場の無い恋ほど、人は囚われ心乱されていくような気がしている今日この頃です(苦笑)
でわ、本日はこの辺でw
(2008.7.2)
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