読み切りモノ
□コーヒー
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目が覚めた。
横を見ると彼が裸で寝ている。
もちろん、私も裸。
時計を見ると6時前。
外はぼんやり明るい。
私は軽く伸びをして、床に投げ捨ててある昨日彼が着ていたTシャツをかぶる。
彼のニオイと、少し汗のニオイ。
でも、嫌いじゃない。
彼の家に泊まった日は私がコーヒーを入れる。
やれ、と言われてるわけじゃない。
じゃあなんでやってるのか、と聞かれてもわからない。
ただ、入れたいだけなんだろう。
朝の静かな部屋にシュンシュンという音が響く。
すっかりお馴染みの音だ。
食器棚から彼と私のカップを取り出す。
いつからか決まっている私のカップ。
そこにコーヒーを二さじいれ、ゆっくりとお湯をそそぐ。
湯気が顔にかかったが、肌寒い朝には心地よい。
コーヒーを持って部屋に戻ろうとすると、
「イズミ!パン!」
と、彼の声が聞こえる。
はいはい、と返事をしてレンジの上にあるパンの袋を口にくわえる。
私の好きなミルクデニッシュだ。
「オハヨ、ショーゴ」
テーブルにコーヒーを置き、彼がコーヒーを一口飲んでから朝のあいさつ。
「オハヨー、イズミ」
いつも通りの朝の風景。
*end*