読み切りモノ
□夢〜その1〜
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なぜかあたしは暗い、小さな空間に4人で身をひそめていた。
見つかったらいけない。見つからないようにあの子を助け出さなきゃ。
薄暗い空間。周りにあるのは湿っぽい茶色の板の壁ばかり。
隙間から見える小さな宴会場のような場所ではあの子の祖父と父が何かを話している。
何を話しているのかはよくわからないが、あたし達にとって、いい話じゃないことは確かだ。
いつの間にかポケットからハンカチが落ちていたようで、友達が拾って「ハイ」とあたしに手渡してくれた。
「ありがとう」と言ってハンカチをしまいこむ。
長いことじっとしているのに飽きたのか、一緒にいた友達の1人が、
「客のフリして行けば、バレなくない?」
と提案した。
その提案にみんな賛成し、狭い空間から抜け出して小さな宴会場に出た。
思いのほか、あたし達は歓迎され、豪華な料理でもてなされた。
その料理に箸をつけようとした瞬間、
「食べちゃダメ!!」
と友達が叫んだ。
「ほら、見て」
と、友達が料理を指さす。
見ると料理からは緑色の泡がふいていて、見るからに毒がもられていた。
横を見ると、友達2人とあの子の祖父と父が毒にやられて倒れている。
あたしを止めてくれた友達もヤバそうだ。
「あたし達はいいから、行って!」
友達が必死にそう言うもんだから、あたしは行かない訳にはいかない。
毒をもったのはあの祖父と父だと思ったのに、何であの2人が倒れているのかは少し謎だったけど、あたしはあの子を探す為に屋敷内を駆け巡った。
この屋敷は広い。そして暗い。
だから部屋を探すのも一苦労だ。
ようやくある部屋を見つけたから、勢いよくあけてみた。
「なんだ?」
違った。
あの子の兄の部屋だ。
あの子を探してるなんてバレたらあたしが見つけるより先にあの子をどこかに隠してしまうにきまってる。
そんなこと、絶対にさせない!!
あたしは急いでその部屋を立ち去り、屋敷内のありとあらゆる部屋を探して回った。
そして、倉庫のようなとっても狭い二畳ぐらいの空間に、あの子はいた。